”日本円が絡む通貨ペア”と”日本円が絡まない通貨ペア”とでは、ロット計算式がやや異なります
先日の記事『おまいら何ロットでやってる?』にご質問をいただきました。
適切なロット数を計算する数式ですが、USDJPY以外でも同じ数式でよいのでしょうか?
ご質問内のロットを計算する数式とはこちら。
口座資金量 ✕ 1回のトレードにおける損失許容額(%)÷ 損切り幅
この計算式はご指摘の通り、日本円(JPY)ベースにおける”日本円が絡む通貨ペア”での計算式です。
つまり以下の通貨ペア。
日本円が絡む通貨ペア
- USD/JPY(米ドル円)
- EUR/JPY(ユーロ円)
- GBP/JPY(英ポンド円)
- CHF/JPY(スイスフラン円)
これらの通貨ペアはペアの右側が日本円であり、1pipsの値幅はすべて0.01円(1銭)です。
従いまして、以下の数式で適切なロット数を算出することが可能です。
口座資金量 ✕ 1回のトレードにおける損失許容額(%)÷ 損切り幅
日本円が絡まない通貨ペアにおける適切なロット数を算出する計算式について
では日本円が絡まない通貨ペアについて考えてみましょう。日本円を含まない通貨ペアの例がこちら。
日本円が絡まない通貨ペア
- EUR/USD(ユーロ米ドル)
- GBP/USD(英ポンド米ドル)
- EUR/GBP(ユーロ英ポンド)
- EUR/CHF(ユーロフラン)
まずは復習です。1pipsあたりの損益金額について考察してみましょう。pipsの計算、わかりやすく解説するよ!小学生でも理解できるよ!の記事から引用します。
日本円(JPY)が絡まない通貨ペアの場合
次に日本円(JPY)が絡まない通貨ペアのケースを見ていきましょう。
計算式は同じです。
1pipsの損益額計算式
損益 = pips ✕ 取引量例えば、GBP/USD(英ポンド米ドル)の場合。
1pips=0.0001ドル、でしたよね。
取引量が1万通貨(1ロット)のケースでは…
損益 = pips ✕ 取引量
損益 = 0.0001ドル ✕ 10,000通貨(1ロット)
損益 = 1ドル(≒113円)※2022年1月24日現在での為替レートにて…
GBP/USD(英ポンド米ドル)における1pipsあたりの損益額は、10,000通貨(1ロット)の場合では1ドル(≒113円)となります(※2022年1月24日現在での為替レート)。
10,000通貨(1ロット)でGBP/USDが1pips上昇後に決済すれば1ドル(≒113円)の儲けとなり、5pips下落して決済すれば5ドル(≒565円)の損失となります(買いポジションの場合)。
※ロットの単位(定義)はFX会社によって異なりますが、ここでは10,000通貨=1ロットで解説しています。
まとめると次の通り。
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引用にある通り、日本円を含まない通貨ペアの取引損益額は右側通貨単位(たとえば米ドル)で表しますよね。
ですので、右側通貨単位を日本円に換算するひと手間が必要です。つまり次の通り。
1pipsの損益額計算式
上の概念をベースにEUR/USD(ユーロ米ドル)で10pipsの変動が発生した場合の損益額(日本円)を計算してみましょう。取引量が1万通貨(1ロット)のケース。為替レートは1ドル=113円で計算します。
損益 = 10pips ✕ 取引量 ✕ 円換算レート
損益 = 0.0010ドル ✕ 10,000通貨(1ロット)✕ 113円
損益 = 10ドル ✕ 113円
損益 = 1,130円
仕組みを理解すれば簡単ですね。まとめた表が以下の図。
EUR/USD(ユーロ米ドル)を1万通貨(1ロット)取引し、10pipsの変動が発生したときの損益額は10ドルであり、日本円に換算(1ドル=113円)すると、1,130円である…と導き出されます。
ここまでの仕組みを理解すれば、適切なロット数の算出も簡単ですよね。日本円に換算する数式を加えるだけです。
日本円に換算する数式を加えることがポイントじゃよ。
つまり、以下の数式です。
口座資金量 ✕ 1回のトレードにおける損失許容額(%)÷ (損切り幅 ✕ 円換算レート)
EURUSD(ユーロドル)で適切なロット数を算出してみる
具体例を出して、上の計算式で算出してみます。
【Aさん】
口座資金は30万円。2%ルールを使います。
取引通貨ペアはEUR/USD(ユーロドル)。
今回のトレードでは損切り幅は10pipsで設定します。
損切り幅は10pipsですので、0.001ドルですね。
為替レートは1ドル=113円で計算します。
= 口座資金量 ✕ 損失許容額(%)÷ (損切り幅 ✕ 円換算レート)
=30万円 ✕ 2% ÷ (10pips ✕ 113円)
=6,000円 ÷ (0.001ドル ✕ 113円)
=6,000円 ÷ 0.113円
=53,097通貨
≒ 53,000通貨(5.3ロット)
ざっと53,000万通貨(5.3ロット)が適切なポジションサイズであることが算出されました。※1ロット=10,000通貨で計算。
EUR/GBP(ユーロ英ポンド)で適切なロット数を算出してみる
今度はUSDも絡まないEUR/GBP(ユーロ英ポンド)で計算してみます。
【Bさん】
口座資金は100万円。2%ルールを使います。
取引通貨ペアはEUR/GBP(ユーロ英ポンド)。
今回のトレードでは損切り幅は15pipsで設定します。
損切り幅は15pipsですので、0.0015ポンドですね。為替レートは1ポンド=150円で計算します。
= 口座資金量 ✕ 損失許容額(%)÷ (損切り幅 ✕ 円換算レート)
=100万円 ✕ 2% ÷ (15pips ✕ 150円)
=20,000円 ÷ (0.0015ポンド ✕ 150円)
=20,000円 ÷ 0.225円
=88,888通貨
≒ 88,000通貨(8,8ロット)
ざっと88,000万通貨(8,8ロット)が適切なポジションサイズであることが算出されました。※1ロット=10,000通貨で計算。
日本円(JPY)を含まない通貨ペアの場合は、単純に円換算(円レートを掛け合わせ)すれば良いのじゃよ。構造さえ理解すれば簡単・シンプルなんじゃよ。