最小単位がpips(ピップス)なのに、どうして0.1pipsという単位が生まれたのか?
pips(ピップス)という概念。とても難解ですよね。
pips(ピップス)を正しく理解するためには、避けては通れないトピックスじゃ。
pips(ピップス)という単位をわかりにくくしている原因はいくつかあります。
その一つが、前回の記事で取り上げた、日本円(JPY)が絡まない通貨ペアの1pipsが小数点第4位なのに、日本円(JPY)が絡む通貨ペアだけが小数点第2位なのはなぜ?です。
詳しくは以下の記事をお読みください。
そしてもう一つ、pipsという概念を難解にしている要因、それが「pipsが最小単位であるにも関わらず、さらに下(より最小の単位)が存在する」ことです。
以下の図をご覧ください。
それぞれ、小数点第4位(EUR/USD)、小数点第2位(USD/JPY)がpipsであると解説していますね。
ところが、pipsは最小単位であるにも関わらず、さらに下(より最小の単位=0.1pips)が存在しています。
最小単位なのだから、
EUR/USD=1.1319(0.0001=1pips)
USD/JPY=113.34(0.01円=1pips)
で良いはずです。
なのに、
EUR/USD=1.13194(0.00001=0.1pips)
USD/JPY=113.342(0.001円=0.1pips)
さらに下(より最小の単位=0.1pips)が表示されているのです。いつのまにか最小有効桁が一つ増えてしまっていて混乱します。
なぜ、0.1pipsという表示が使われるようになったのでしょうか?
1pipsの10分の1(つまり0.1pips)が普及した背景
もともとは、0.1pipsという概念(表示)は存在していませんでした。
そもそもpipsは、 percentage in point(複数形のs)の略です。つまり最小単位の100分の1を表すためにpipsが用いられていました。
1ドルの補助単位である「セント」の100分の1が1pipsであり、1ポンドの補助単位である「ペニー」の100分の1が1pipsだったわけです。
もともとは、0.1pipsという概念(表示)は存在していなかったのじゃ。
ところが、いつのまにか、1pipsではなく、0.1pipsという表示が一般的になってきました。
原因は2つ。
一つは、取引システムの高性能化。
もう一つは熾烈なスプレッド競争です。
”pipsのさらに10分の1の値”を表示する処理に耐えられるほど、システムやPCの処理スピードが飛躍的に高まった
FX取引システムが高性能になるにつれ、より狭い変動幅を表示させることが可能になったのですね。
テクノロジーの急速な進化によって、システムやPC(端末)の処理スピードが飛躍的に高まり、pipsのさらに10分の1の値を表示する処理に耐えられるようになりました。
極小スプレッド(0.1pips単位)を可能にするためのマーケティング施策
そしてもう一つの原因が、熾烈なスプレッド競争です。FX取引が普及するにつれ、FX会社の顧客獲得競争が激化しました。
他社との差別化を図るために、少しでも安い手数料(スプレッド)を提示して顧客を囲い込みます。0.1pips単位でのスプレッド競争が封を切ったわけです。
結果、1pipsの10分の1表示(つまり0.1pips)が一気に普及しました。
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海外では1pipsの10分の1(=0.1pips)をPIPETTE(ピペット)と呼ぶ
海外FXでは、1pipsの10分の1(=0.1pips)をPIPETTE(ピペット)と呼んでいます。
PIPETTE(ピペット)とは、本来「スポイト」のような道具を指します。少量の液体を吸い取るための実験器具ですね。
より極小のスプレッドを可能にするために、1pipsの10分の1(=0.1pips=1pipette)を導入するFX会社が一般的になりつつあるのですね。
日本円が絡まない通貨ペアの場合は、小数点第5位をpipette(ピペット)と呼びます。
日本円が絡む通貨ペアの場合は以下の通りです。小数点第3位がpipette(ピペット)です。
自分が利用するプラットフォームのpips表示を正しく把握しておこう
FX業者によっては(たとえば外為どっとコムでは)、
- 0.00001=0.1pips ➔ 0.00001=1pips
- 0.001円=0.1pips ➔ 0.001円=1pips
と表示(定義)するところもあります。…ますますわかりずらいですよね。
まずは、あなたが利用しているFX会社の取引プラットフォームのpips定義を確認しておきましょう。
pips(ピップス)を理解し慣れることはFXに欠かせません。
FX会社の取引プラットフォームのpips定義を確認することが大切じゃよ。