破綻したアルゴス「TES」、HYIP詐欺の可能性を探る

アルゴスクリプトラボ「TES」、HYIP詐欺の可能性を探る

アルゴスクリプトラボ「TES」、HYIP詐欺の可能性を探る

アルゴス「TES」破綻の続報

仮想通貨アービトラージファンド「TES」が破綻し、運営母体であるアルゴスクリプトラボ(ARGUS CRYPTO Laboratory)が飛んでから約1週間。いまだ、被害の全貌は見えてきません。

そもそも理論上は絶対に損失を出さないアービトラージ(裁定取引)において、なぜ「TES」が莫大な損失を出したのか?

アルゴスは以下のようにさらっと説明しています。

昨今の不安定な市場や価格操作などの影響により2019年1月13日の取引において大きな損失が生じる結果となりました。

引用:アルゴスクリプトラボ公式サイト

「TES」の仕組みはAI(人工知能)による裁定取引です。あらゆる取引所の価格を監視し、価格差が最も開いた瞬間を差を瞬時に取引をおこなうというものです。

仮想通貨アービトラージ(裁定取引)の仕組み

理論上は絶対に損失が発生しない仕組みなのに、わずか1日でなぜ98%も吹き飛ばすほどの損失を出したのか?どうも腑に落ちません。

”詐欺”ありきの案件だったか

最初から緻密に練られた「詐欺」だった可能性も捨てきれません。

いわゆるHYIP詐欺ですね。HYIPとはHigh Yield Investment Program (ハイ・イールド・インベストメント・プログラム)の頭文字を取ったもので、いわゆる高配当投資商品のことです。HYIPと書いて「ハイプ」と読みます。

最近では仮想通貨を絡めたHYIPが流行っていて、メルマガやLINE@、TwitterなどのSNS経由、もしくはMLM(マルチレベルマーケティング)によって投資家を募る点が特徴的です。

現時点では、仮想通貨を介したファンドは金商法(金融商品取引法)で取り締まることがでないため、非常に多くの仮想通貨ファンド(HYIP)が存在します。

極めて高い利回りがウリで、月利10%は当たり前、中には月利40%超え(1日1%以上)という驚くような高配当案件も存在します。

今回の「TES」も高配当をセールスポイントにしています。

  • TES1(運用1BTC)月利約12.5%
  • TES2(運用10BTC)月利約18.1%
  • TES3(運用30BTC)月利約25.3%
  • TES4(運用50BTC)月利約41.6%

普通のファンドでは考えられないような利回りです。

こうした高配当投資案件の裏でHYIP詐欺も横行しています。高配当をウリにしたセールスで多くの投資家(資金)を集め、ある一定期間は配当を行うが、その後「ごめん、運用に失敗してみんなのお金がなくなっちゃった…」などと言って破綻するパターンです。

高配当であるため、元本の保証などもともとありません。「運用に失敗した」と言われれば、なにも言い返せません。

HYIP詐欺を詐欺罪で立件することの難しさ

さらに、実際に運用していた形跡が少しでもあれば、詐欺罪として訴えることすら困難になります。なぜなら「運用していた形跡」が残っていれば、詐欺罪立件の要素である「欺罔行為又は詐欺行為」を満たすことができないからです。

詐欺の構成要件は、4つあります。

  1. 一般社会通念上、相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益の処分させるような行為をすること(欺罔行為又は詐欺行為)
  2. 相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
  3. 錯誤に陥った相手方が、その意思に基づいて財物ないし財産上の利益の処分をすること(処分行為)
  4. 財物の占有又は財産上の利益が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転、利益の移転)

上記の4点を全て満たすことが必要とされています。特に、1番目の「最初から本人に相手を騙す意志があった」という点の立証が非常に困難を伴います。

今回の「アルゴスクリプトラボ事件」においても、AIを取り入れた「TES」というシステムが存在し、実際に運用していた形跡が残っていれば、「詐欺罪」として刑事責任を追求することは難しくなります。

「TES」が”HYIP詐欺”であった可能性はどれほどか?

最初から投資詐欺をおこなうつもりで「アルゴスクリプトラボ」が設立され、綿密な計画のもと、大量のビットコインが集められた可能性もゼロではありません。

アルゴスクリプトラボ「TES」の特徴は以下の通り。

  • 極めて高配当(月利12〜41%)
  • 1BTC(40万円前後)から投資可能
  • 毎月配当
  • 元本保証はない
  • 元金出金に制限あり(600日間は出金できない)

次に、投資詐欺(ポンジ・スキーム)の特徴をご覧ください。

  1. 高利回り(年30%〜をアピール)
  2. 少額から投資可能(数万円〜数十万円)
  3. 毎月配当を謳う(月利1〜10%)
  4. 紹介料が高い(1〜5%)
  5. 信託されていない(イレギュラーな出資契約)

この5つのポイント(要素)の中で、1つでも当てはまれば、ほぼ100%投資詐欺(ポンジ・スキーム)の可能性が高いと言われています。

どうですか?TESが投資詐欺(ポンジ・スキーム)の要素をかなり満たしていることがわかるはずです。

さらにTESは影響力のあるブロガー「ベガ」氏を介して多くの投資家を集めていました。「ベガ」氏に紹介料が払われていた可能性も捨てきれません。

こうしてみると、「TES」が投資詐欺(ポンジ・スキーム)であった蓋然性は高いといえそうです。

「スイングトレードでの損失で穴を開けた」は本当か?

アルゴスクリプトラボは公式で次のように弁明しています。

ビットコインだけ でなく様々なアルトコインでの裁定取引に加え、長期的なスウィングトレードを交えることで大きな利益を生み出して 参りました。 しかし、昨今の不安定な市場や価格操作などの影響により2019年1月13日の取引において大きな損失が生じる結果とな りました。

引用:アルゴスクリプトラボ公式サイト

つまり、TES(アービトラージ取引)だけでなく、スイングトレード(長期トレード)もやっていたということです。そのスイングトレードにおいて、損失を出したという説明です。

本来、ファンドとして集めた投資家のお金は、最初に定めた運用法で運用するべきであり、もしも別の方法で運用するならば、その都度投資家に説明する義務があるはず。

「実は内緒でスウィングトレードしてたんだけど、失敗しちゃった ☆(・ω<) 」ハイレバでトレードしていたのであれば、投資家のお金を大きなリスクに晒したことになります。これが本当ならば、皆、もっと怒っていいい案件です。

ただ、この説明もどうも釈然としません。

考えられる別のストーリー

もう一つ、「TES」が破綻に陥った別のプロットが推測されます。

実は「TES」は非常にすぐれたシステムだった可能性もあります。AIアービトラージによって月利50%以上を叩き出し、配当も順当にできていた。その裏で、アルゴスクリプトラボが別の投資に手を出していた可能性が考えられます。

たとえばFX。ご存知のように2019年1月3日に為替でフラッシュクラッシュ(瞬間暴落)が発生し、多くのトレーダーが強制ロスカットで損失を出しました。

もしかするとアルゴスクリプトラボは手にした大金でFX投資(ハイレバ)をおこない、正月のフラッシュクラッシュ(瞬間暴落)で莫大な損失を出したのかも…

フラッシュクラッシュは1月3日、TES破綻が1月13日。時期的にはマッチします。

TESによって大量のBTCを集めることに成功したアルゴスが、よりレバレッジを効かせやすいFXに投下して一攫千金を狙った…あくまでも推測の域を出ない話ですが。

アルゴス経営陣はいますぐ説明会を開くべき

被害の全貌はまだまだ見えていません。アルゴスからの説明も不十分です。今後、アルゴスが投資家向けの説明会を開くのか?それすら不明です。

まずは、アルゴス経営陣が表に出てきて、みなが納得のいく説明をおこなうべきです。

 

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