FX取引の本質を誤解している人が多すぎる…
前回の記事、FXは勝てないようにできている、は本当か?にて、多くの人がFX取引の本質を誤解しているとお伝えしました。
FX取引の本質
- FX取引は相対取引が基本
- FX取引においてレート操作は違法ではない
- FX取引そのものがヴァーチャル取引(実際のマーケットを精巧に模倣したもの)
- FXは差金の授受で決済可能であるため合法的なノミ行為といえる
- 公平性・透明性を求めるならカバー率の高い業者を使えばOK(ただしスプレッドは高い傾向)
FX取引で優位性を見出すためには、FXの本質を正しく理解する必要があります。
「FXは勝てないようにできている」の真の意味とは?
FXは勝てないようにできている…この言葉の真の意味は次の通り。
短期売買トレーダーほど、レートの微妙な変動の影響を受けます。またスプレッドが損益に及ぼす影響も無視できなくなります。スキャルピングで短期的には勝てたとしても、長期的に利益を残すのは至難の業=つまり「勝てない」のです。
一方、長期トレーダー(スイングトレーダー)が影響を受ける可能性は限りなくゼロです。
2016年8月に1ドル100円でロングポジションを持ったトレーダーが、2021年9月に111円で手仕舞いする…11円の利益です。このトレードにおいて、わずかな(1銭〜10銭程度の)レート操作が行われていようが影響は皆無ですよね。当然、スプレッドコストが利益に及ぼす影響も限りなくゼロです。
つまり、FX取引のマイナス面は”スキャルパーにとってのマイナス面”である、が真実。長期トレーダーにとっては瑣末(さまつ)な要素に過ぎないわけです。
スキャルピングはハードモードだ
スキャルピング(超短期売買)は、そもそも”勝ちずらい環境”の中で戦う難易度の高いトレード手法です。その事実を理解せずにイメージだけで取り組む初心者があとを絶ちません。
むしろスキャルピングのほうが簡単であると勘違いしているFX初心者も少なくありません。
…全く逆です。
スキャルピングは、ノイズの中からわずかな優位性を瞬時に刈り取る超上級者向け手法です。それそこ世界中の強者がしのぎを削るハードモードトレード。
スキャルピングの難易度の高さについては、このサイトで何度も警鐘を鳴らしてきました。
いい加減「スキャルで勝つ!は幻想だ」と声を上げるべき
ネット上にはウソがはびこっています。
FXにおけるもっとも無責任なウソ、それは「FX初心者はスキャルピングやろうぜ!」です。
SNS上ではスキャルピングの取引実績をこれ見よがしにキャプチャして「今日は9勝1負、トータル4万2千円のプラスです!」みたいな煽り投稿であふれかえっています。
誰もがポジショントークを仕掛けていて、情報弱者であればあるほど、ウソを簡単に信じて騙されます。
スキャルピングというハードモードな取引スタイルへ初心者を引きずり込み、食い物にしているのです。
脳内麻薬ドーパミンとスキャルピングの切っても切れない関係
スキャルピングやバイオプのように、短時間で勝敗が決りお金が増えたり減ったりするトレードは、極めて非日常性が高く、人の感情を揺さぶります。勝てば大量のドーパミンが放出されます。
スキャルピングが楽しい理由は、1回の勝ちトレードによってドーパミンが大量放出され、あなたの脳が強い快楽を感じているからなのですね。脳内麻薬であるドーパミンが過剰に分泌されれば依存症になってしまいます。勝ち続けるのが難しいスキャルをなかなかやめられない理由は、ここにありそうです。
「スキャルって簡単に勝てるじゃん!」と思ったら危ない
残念ながら、スキャルで長期的に利益を出し続けるのは容易ではありません。極めて高度なスキルが求められるハードモードのトレードなのです。その事実に気付くまでに私自身も多くの勉強代を相場に払いました。
初心者に「スキャルはやめたほうがいいよ」とアドバイスしても、まず聞いてもらえません。なぜなら勝つときは容易に勝てるからです。「簡単じゃん!」と思ってしまうのですね。しかし長期的に(1ヶ月〜数ヶ月以上)利益を残せる人は、ごくごくわずかです。スプレッド=手数料も無視できません。スプレッド以上利幅を狙う必要があるため、リスクも増えます。
スキャルピングは、相場のノイズの中の瞬間的な優位性を見つけ出して、わずかな利益をかすめ取る手法です。薄利をコツコツと積み重ねていくには、タフな精神力と優れた反射神経が求められます。先天的な能力に左右されるので、訓練してどうにかなるものとは思えません。
おせっかいと言われるかもしれませんが、あなた自身に卓越した反射神経と強靭な精神力が備わっていないならばスキャルは避けたほうが無難です。とはいえ、初心者は誰もが一度は通らざるをえない道なのかもしれません。
(中略)
初心者ほどスキャルをやりたがるが、初心者であるほどスキャルでは勝てない・・・切ないパラドックスが存在するのです。
引用:Easy Scal FX【検証とレビュー】
スキャルピングトレードに優位性を見出す難しさに関しては、海外でも同じ論調。
More Reliable Price Action Patterns
Many new traders that come into the forex market tend to gravitate towards very short term trading and day trading. One of the reasons for this is that these traders believe that by trading the lower timeframes they have more opportunities available to them to trade, and thus they can generate more profit in the long run.
Although in theory this type of thinking may sound logical, it is really just a trading myth and one that leads many traders astray. You must understand the fact that support and resistance levels, chart patterns, candlestick patterns, and other technical signals on the larger timeframes such as the daily forex charts and weekly charts are much more reliable than on the lower timeframes. Price action is smoother on the daily chart and you can generally get a real sense of where the market is trying to go. This is quite a bit harder to do consistently on the smaller timeframes.
When utilizing an end of day trading strategy, you will be able to assess your risk vs reward in a much higher probability manner than you would otherwise on say an hourly, or 15 minute chart. The supply and demand swings that are created on the daily chart are by far more accurate than lower time frames in general. Having a solid sense of the true potential profit vs risk on a trade as shown on the daily chart will put you miles ahead of other retail traders that bypass this type of analysis.
直訳すると以下の通り。
FXマーケットに新規参入する人々は、スキャルピングやデイトレードをしたがる。その理由の1つは、これらがより短い時間枠で取引できるため、トレード機会が増え、長期的にはより多くの利益が生み出せると考えているからだ。
理論上、こうした考えは論理的に聞こえるが、実際は多くのFXトレーダーを迷わせる取引神話の一つだ。日足や週足チャートなど、より大きなタイムフレームでのサポレジ、チャートパターン、プライスアクションなどのテクニカルは、短期足に比べてはるかに信頼性が高い事実を理解しておく必要がある。
短期足(15分足チャートなど)と比べても日足チャートはトレンドの方向を容易につかみやすいうえに、優位性が高く、正確だ。短期足で出現するパターンは、単なる市場のノイズであり、そこに優位性はない。
当然取引コストも短期足トレードに比べれば長期足のほうが優位性があり、継続すればその差はバカにならないのだ。
結論|「FXは勝てないようにできている」に対抗するための唯一・具体的な戦略とはスイングトレード(中長期トレード)への移行
ここまで書けばもうおわかりだと思いますが、「FXは勝てないようにできている」に対抗するための具体的かつ唯一の戦略は、スイングトレード(中・長期トレード)に取り組む、です。
スキャルピング(短期売買)への幻想を捨て去り、堅実な中長期トレードを実践する。結果的にFX取引のデメリットを限りなくゼロにできます。
中・長期トレードへの取り組み以外に、”FX取引のデメリットを回避する方法”はありません。断言します。
スイング(中・長期)トレードの利点はたくさんあります。
スイングトレードには、短期トレードには存在しない計り知れない利点が存在する事実をご存じですか?
利幅が大きい!
最大の利点は、一度のトレードで手にする利幅が非常に大きい点です。
短期トレードで獲得できる利益の数十倍〜ときには数百倍以上の利幅を、たった一度の取引で獲得できる!このダイナミックさはスキャルピング・デイトレードの比ではありません。
ストレスが少ない!
チャートへの張り付きは基本的に不要です。仕掛けるまでにたっぷりと時間をかけ、最適なタイミングで仕掛けを行えば、あとは狙った利幅まで到達するのを待つだけ。
主に日足のチェックがメインになるため、チャートのチェックは1日1回、あるいはもっと少なくても良いです。日中に時間を取りづらい会社員や忙しい方にとっては助かりますよね。
相場の細かな動きを気にせず、ゆったりと構えて取引できるため、ストレスは軽減されます。
投資で精神をすり減らしたくないならば、まずは長期投資に目を向けるべき。
テクニカル分析の優位性が高まる
テクニカル分析は、長期足ほどその有効性が高まるのは、よく知られています。特に日足におけるテクニカル指標の優位性は、短期足と比べたときに雲泥の差ほどあります。
なぜなら世界中の無数のトレーダーが日足ベースでテクニカル分析をおこなっているからです。結果的にテクニカルが効いてくるわけです。
ラインも同様です。サポレジラインやトレンドラインは日足以上のチャートに引けば一層優位性を発揮できるようになります。
とにかく簡単!
FX初心者ほど長期トレードをするべきです。なぜなら短期トレードに比べてはるかに簡単に勝てるから。
相場は短期足になればなるほど、ノイズ度が高まります。ノイズの中から優位性を導き出すこと自体が難易度が高く、FX初心者にはほとんど不可能に近いです。
一方、長期足になると、ノイズの集合体である波の動きに方向性(トレンド)が加わります。この長期的なトレンドの一部でも抜き取れれば、それなりの利益を確保できるのです。
残念ながらFX初心者ほどスキャルピングをやりたがります。最大の理由は、FX会社がスキャルピングをすすめるから。FX初心者にスキャルピングさせれば彼らは負け続けます。つまりFX会社にとって初心者スキャルパーは格好のカモ(情報弱者)なのです。
さらに、FX商材業者も無責任にFX初心者にスキャルピングをすすめます。FX初心者向けスキャルピング商材が大量生産されています。無知の初心者は「簡単に勝てる」の文言に騙されてしまうのです。非常に罪作りですね。