Twitterで話題沸騰の「さんすくみ投資法」を考察
2019年6月ごろからTwitterで話題になっている「さんすくみ投資法」。saekinomao@氏が海外FX業者「FXSuit」とタイアップして日本人向けにこのスキームを開発したことから、「saekinomao式スワップ」とも呼ばれています。
あまりにも美味しすぎる投資話なので、当初は巧妙な詐欺ではないかと危ぶむ人もいましたが、ここ最近(2019年10月〜)再びTwitter上で#さんすくみに関するつぶやきをちらほら見かけるようになりました。
当サイトにも問い合わせが来ています。その一部を紹介します。
そんなに簡単に儲かる話があるとは思えません。
管理人様のお考えをお聞かせください。
話がうますぎると警戒心を持ちつつも、この手の市場の歪みを利用した儲け話が気になってしょうがないのでしょうね。
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「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」って何だ?
まず、「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」について解説します。
Twitterで話題の「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」とは、特定の海外FX業者を使ったスワップ狙いの両建て取引です。
具体的には、海外FXブローカー「FX Suit」に口座を設し、3通貨ペア(米ドル・日本円・ユーロの組み合わせ)を同時保有して為替差損を相殺しつつ、月利15%もののスワップポイントをほったらかしで手にする夢のような投資法です。
そもそもスワップ投資には”為替変動リスク”がつきものだが…
スワップポイントとは、2通貨の金利差を調整するために存在します。金利差(スワップポイント)がプラスならば、ポジションを保有している間、ずっと加算され続けます。つまり、毎日スワップポイントが増え続けるわけですね。
この仕組を利用したものが、スワップ投資です。高金利通貨(南アランドやトルコリラなど)を保有する(買いポジションを持つ)ことで、不労所得のように高額のスワップ収入を毎日手にすることができます。
例)たとえば、2つの国(南アフリカ・日本)の政策金利が以下の場合…
・南アの金利=6.50%
・日本の金利=0.1%
2国間の金利差が6.4%となり、南アフリカランド/日本円(ZAR/JPY)を10ロット=10万通貨保有するだけで、ざっくりと1日120〜130円前後のスワップポイントが発生します(※「みんなのFX」参照。金額はFX会社により異なります)。
10ロット保有するのに必要な証拠金はざっくりと29,000円くらいなので、10万円あれば、約430円が毎日ほったらかしで手に入ります(ZAR/JPY=7.3円、レバ25倍、スワップ125円=10Lotで計算)。
100万円あれば、4,300円(1日)。1000万円あれば、43,000円(1日)を毎日、手にすることが可能になります(金利等が変化しない限り)。
月利はなんと13%…まさに不労所得です。
このうえなく美味しい話に見えるスワップ投資ですが、買いポジションを保有し続けることが前提であるため、通貨が下落すれば莫大な含み損を抱えることになります。あなたの口座が下落に耐えきれなければ、当然ロスカット(口座破綻)です。通貨下落によって口座が吹き飛ぶ…これがスワップ投資における最大のリスクです。
そして、残念ながら高金利通貨は常に暴落のリスクを抱えているのです。
過去には何度も高金利通貨の下落が発生し、数えきれないほどのスワップ投資家が莫大な損失による損切りや口座破綻の憂き目にあっています。
為替変動リスクを極限まで排した「さんすくみ(saekinomao式スワップ)」投資法
ハイリスクなスワップ投資ですが、話題の「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」には、スワップ投資につきものの為替変動リスクを極限まで下げる工夫がなされているというのですね。
その仕組は次の通り。
以下の3つの通貨ペアを、それぞれ次のようにホールドします。
- USD/JPY(米ドル円)…売りポジション
- EUR/JPY(ユーロ円)…買いポジション
- EUR/USD(ユーロ米ドル)…売りポジション
上のように組み合わせてポジションを持つことで、「さんすくみ」の状態ができあがるわけです。さんすくみ(三竦み)の本来の意味は、三者が互いに牽制しあって身動きできない状況をさします。
ヘビとカエルとナメクジの三者が、偶然遭遇してしまうのですが、ヘビはナメクジを怖がり、ナメクジはカエルを怖がり、そしてカエルはヘビを怖がる。結果的に、誰も動けなくなってしまうわけですね。これが「さんすくみ」です。
「USD/JPY」と「EUR/USD」を売り、「EUR/JPY」を買う
この仕組みをスワップ取引に取り入れたのが、「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」です。図にしてみると…
- USD/JPY(米ドル円)…売りポジション
- EUR/JPY(ユーロ円)…買いポジション
- EUR/USD(ユーロ米ドル)…売りポジション
USD/JPYを売り、EUR/USDを売り、EUR/JPYを買う。これはつまり…
- USD/JPYのShort → USD売り&JPY買い
- EUR/USDのShort → EUR売り&USD買い
- EUR/JPYのLong → EUR買い&JPY売り
結果的に、
- 「USD売り」と「USD買い」 → 相殺
- 「JPY買い」と「JPY売り」 → 相殺
- 「EUR売り」と「EUR買い」 → 相殺
それぞれの通貨が相殺されることになり、為替変動リスクが理論上はゼロになります。つまり2通貨ペアによる両建てとまったく同じ仕組みですね。
もちろん、各通貨ペアのポジションバランスも考慮します。EUR/JPYを1Lotでロングする場合は、EUR/USDは1Lotでショート、そしてUSD/JPYはEUR/USDのレートと同等のLot数をショートします(EUR/USDが1.12ならば、1.12Lot)。このバランスで、3通貨ペアが均衡し為替差損が相殺されます。
スワップポイントはどうなる?
一方、スワップポイントはどうなるでしょうか?比較するためにFXブロードネットのデータ(2019/10/15〜)を参照します(1万通貨/日)。
- EUR/USD|Short時のスワップポイント…83円
- EUR/JPY|Long時のスワップポイント…▲15円
- USD/JPY|Short時のスワップポイント…▲66円
3通貨ペアのスワップポイントを合計すると…1日で「2円」のプラスです。これではいくらレバレッジを効かせてもほとんど儲かりません。
他の業者でも確認してみましょう。以下は上田ハーローFXのデータ(2019年10月20日現在)です。
- EUR/USD|Short時のスワップポイント…82円
- EUR/JPY|Long時のスワップポイント…▲22円
- USD/JPY|Short時のスワップポイント…▲70円
なんと、3通貨ペアのスワップポイント合計は、1日▲10円です。つまり毎日10円づつ損をすることになります。まったく意味がありませんね。
ところが…
「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」の秘密は、指定ブローカー「FX Suit」が特別に設定したスワップポイントにある
「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」で指定されている海外FXブローカー「FX Suit」に口座を開設すれば、特別にスワップポイントが優遇されるのです。「FX Suit」(2019年10月20日情報)のスワップポイント情報(2019年10月20日現在)を覗いてみましょう。
- EUR/USD|Short時のスワップポイント(1Lot)…7.8ドル(約845円)
- EUR/JPY|Long時のスワップポイント(1Lot)…0ドル
- USD/JPY|Short時のスワップポイント(1.12Lot)…▲2.9ドル(約▲314円)
※1ドル=108.4円で計算、レバレッジ=500倍、1Lot=10万通貨
3通貨ペアのスワップポイントの合計は、なんと531円(=845円ー314円)です。1ヶ月(30日)では、15,930円になります。
10万円の投資額に対して、ひと月に15,930円のスワップポイントを稼ぐことができるわけですから、月利約15%となりますね。
ただし、10万円の元本(必要証拠金)で月15,000円のスワップポイントを手にするには、「FX Suit」の最大レバレッジである最大値の500倍に設定することが求められます。
実質的なレバレッジは、ざっくり360倍前後になるもよう。
- EUR/USD(1Lot)必要証拠金=1.12ドル✕10万通貨=1214万円
- EUR/JPY(1Lot)必要証拠金=121円✕10万通貨=1210万円
- USD/JPY(1.12Lot)必要証拠金=108.4円✕10万通貨✕1.12=1214万円
- 合計3638万円 ⇐ 10万円の証拠金に対して363倍(レバレッジ)
FX Suitにどうしてこんな破格のサービス提供が可能なのか?
どうしてこんな破格(高額)のスワップポイントを拠出できるのか?。どうやら、saekinomao@氏が「FX Suit」経営陣と知り合いであることから、このスキームが実現したとのこと。
saekinomao@氏の言葉を引用しましょう。
これは某FX会社と折衝して、実現したものです。
このFX会社は、私の長年の仕事仲間の、親しい友人の紹介で知り合いました。
FX会社を立ち上げ、日本で顧客を獲得して成功したいという事で、相談を持ち掛けられました。
そこで私は、ハイレバレッジでも安心して高額スワップを得られる方法を考えて、この会社に提案し、それが実現しました。(中略)
そして重要なのは、このような高額スワップポイントを貰うロジックを使っても、邪魔をされない良心的なFX会社であるという事が重要なポイントです。
元々スワップポイントはインターバンクから貰えるので、どんなに高額なスワップポイントを顧客に支払っても、このFX会社には損害はありません。
ひとつ問題は、この手法は、一度ポジションを持ったら、一切売買はしない方法なので、FX会社にとっては儲けにくい方法なのです。
ご存知のようにFX会社は、トレーダーが頻繁にトレードしてくれて沢山手数料を稼ぐというのが普通です。
しかし、私の手法だとほとんど売買をしません。
FX会社の儲けは初めにポジションを持った時の手数料だけです。それでも良いというFX会社の英断で実現した手法です。FX会社のメリットは、この画期的な手法で、顧客が爆発的に増えるのではないかという期待と、スワップで安定的に稼いで貰ったら、次は別途デイトレードもやって貰えるのではないか、そうなれば手数料が稼げる、という期待で今回の英断となりました。
つまり以下3点により、この限りなくローロス区で毎月15%、年間180%のハイリターンがほったらかしで可能になったのです。
①ハードカレンシー③通貨ペアの組み合わせで、価格が上下一方に動かないように固める
②ハイレバレッジが可能なFX会社
③良心的なFX会社である
某FX会社というのが「FX Suit」です。
上のsaekinomao@氏の言葉をそのまま鵜呑みにするならば、まさに日本人向けの特別大サービスで(特別スキーム)あることがわかりますね。
次回予告:「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」の疑問点や課題
海外FXブローカー「FX Suit」を利用した「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」の概略を解説しました。
次回は、「さんすくみ(saekinomao式スワップ)投資法」のスキームにおけるリスクや課題、そして海外FXブローカー「FX Suit」の信用リスクなどについて、詳しく考察していきます。