世界中がバイナリーオプションを”問題視”する本当の理由
先日アップした記事バイナリーオプションが世界中で禁止・規制へ…その流れを追うの中で、世界中でバイナリーオプション禁止の動きがあることをお伝えしました。
これほど多くの国々でBO禁止の動きが盛んになっていることに、驚ろかれた方も少なくないでしょう。
- イギリス(EU加盟国)…BO禁止
- フランス(EU加盟国)…BO禁止予定
- ドイツ(EU加盟国)…BO禁止
- イタリア(EU加盟国)…BO禁止
- デンマーク(EU加盟国)…BO禁止予定
- オランダ(EU加盟国)…BO禁止
- ベルギー(EU加盟国)…BO禁止
- アイルランド(EU加盟国)…BO禁止
- ポーランド(EU加盟国)…BO禁止
- マルタ(EU加盟国)…BO禁止
- キプロス(EU加盟国)…BO禁止
- イスラエル…BO禁止
- カナダ…BO禁止
- オーストラリア…BO禁止予定
- 中国…野放し
- ロシア…野放し
- マレーシア…野放し
- シンガポール…ゆるく規制
- 南アフリカ…野放し
- アメリカ合衆国…BO認可
- 日本…BO認可
世界中の国々がBO業者をこれほどまで敵視し、BO禁止の動きで足並みをそろえて一斉に動いているのか、あなたは考えたことありますか?金融の自由化・グローバル化に反するような(BO規制の)動きがなぜ一度に起きているのか?
BOは消費者の資産を著しく毀損(きそん)する詐欺的サービス←これが世界の常識
なぜ、各国がBO禁止に踏み切っているのか?理由は、それぞれの国がBOをどのように捉えているかを見れば、一目瞭然です。各国のBO禁止公表時のアナウンス(公式見解)をご覧ください。
【EU】複雑かつ透明性に欠けるBOは投資家保護の観点から大いに問題あり
まずはEU(欧州連合)から。ESMA(欧州証券市場監督局)の公式見解がこちら。
Significant Investor Protection Concern
ESMA, along with National Competent Authorities (NCAs), concluded that there exists a significant investor protection concern in relation to CFDs and binary options offered to retail investors.
…
NCAs’ analyses for binary options also found consistent losses on retail clients’ accounts.
内容は以下の通り。
投資家保護に重大な懸念あり
ESMAは、National Competent Authorities(NCA)とともに、CFDおよび個人投資家に提供されるバイナリーオプションに関して、投資家保護に関して大きな懸念があると結論付けた。その複雑さと透明性の欠如によるものでだ。
NCAによるバイナリーオプションの分析では、消費者のアカウントに一貫した損失が見られた。
複雑かつ透明性に欠けるBOにより消費者は一貫して損失を計上している…BOは投資家保護の観点から”問題あり”と断言しています。
【イギリス】消費者はBOによって毎年17,000ポンド(230万円)を失っている
イギリスの公式見解がこちら。
The FCA thinks these products pose the same risks for investors and so are extending the scope of the prohibition to prevent a market developing for these products.
…
The FCA estimates the permanent ban on binary options could save retail consumers up to £17m per year, and may reduce the risk of fraud by unauthorised entities claiming to offer these products.
内容は以下の通り。
…
FCAは、バイナリオプションの恒久的な禁止により、小売消費者が年間最大1,700万ポンドを節約でき、これらの金融商品を提供しようとする不正な存在による詐欺のリスクを軽減できると推定している。
BOを永久的に禁止することで、消費者が年間最大17,000ポンド(約230万円=1ポンド134円計算)を節約できる…逆に言えばBOによって消費者が毎年17,000ポンド(230万円)を失っているということですね。
【ドイツ】透明性に欠けるBOは投資家保護の観点から問題があり
In particular, BaFin sees risks and thus considerable investor protection concerns in that binary options are complex and lack transparency, especially with regard to the calculation of their performance and the underlying.
内容は次の通り。
やはり透明性に欠けるBOは投資家保護の観点から問題ありと考えていますね。ESMA(欧州証券市場監督局)の見解と同じです。
【デンマーク】BOでお金を失う消費者が年々増加していることに懸念
Binære optioner er i sagens natur risikable og komplekse produkter og handles ofte spekulativt via internettet med udbydere, der ikke iagttager gældende investorbeskyttende regler.
Finanstilsynet deler ESMA’s og andre kompetente nationale myndigheders bekymring om det stigende antal detailkunder i hele EU, der køber binære optioner og konsekvent taber deres penge.
内容は次の通り。
バイナリーオプションは本質的にリスクが高く複雑な金融商品であり、投資家保護ルールを遵守していないプロバイダーとインターネット上で投機的に取引されることがよくある。
FSAは、バイナリーオプションを購入してお金を失うEU圏の消費者が増加していることに関し、ESMAおよびその他の管轄当局の懸念を共有している。
BOはリスクが高く複雑な商品とし、BOでお金を失う消費者が増加していることを懸念していますね。
【カナダ】BOは典型的な投資詐欺、BOは違法であることは明確だ
Binary options are the leading type of investment fraud facing Canadians today, and the impact of this kind of scam on individuals is staggering. This ban positions the CSA among the world leaders in fighting back against binary options fraud and represents an important step in protecting Canadians. It conveys a clear message that these products are unsuitable for individuals because of their risky characteristics and that their trading is illegal.
…
Binary options take the form of a wager in which investors bet on the performance of an underlying asset, often a currency, commodity, stock index, or share. The timeframe on this bet is typically very short, sometimes hours or even minutes. When the time is up, the investor either receives a predetermined payout or loses the entire amount. In many instances, however, no actual trading occurs and the transaction takes place for the sole purpose of stealing money.
CSA(カナダ証券管理者)議長の発言を伝えるニュースからの引用です。内容は次の通り。
「バイナリーオプションは、現在カナダ人が直面している主要な投資詐欺の一つであり、この種の詐欺が個人に与える影響は驚くべきものだ」と、CSA(カナダ証券管理者)の議長Louis Morissetは述べている。
「今回のBO禁止は、CSA(カナダ証券管理者)をバイナリーオプション詐欺に対抗する世界のリーダーに位置付け、カナダ人を保護する重要なステップを表している。BOはリスクがあり消費者に適していない、BO取引は違法である、という明確なメッセージを伝える。 」
なかなか辛辣です。BO禁止を早くに打ち出したカナダならではですね。
【オーストラリア】調査の結果によればBOによってユーザーの80%がお金を失っている…BOはなんら経済的な価値を世の中に提供しない…
そしてオーストラリアがBO禁止に動き出したときのASIC(Australian Securities and Investments Commission=オーストラリア証券投資委員会)の見解がこちら。
licensed issuers received gross trading revenue of $490 million from binary options and $1.5 billion from CFDs—which can largely be attributed to a combination of net client losses and fees and costs charged to clients
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80% of clients who trade binary options lose money
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We believe binary options provide no meaningful investment or economic use, and have product characteristics similar to gambling products
内容は以下の通り。
これらの業者利益は、主に消費者の損失と手数料によって構成されている。
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バイナリーオプションを取引する消費者の80%がお金を失っている
…
バイナリーオプションは、なんら経済的な価値を世の中に提供しない
むしろギャンブル製品に類似した特性を持っている
BOで消費者の80%が損失を出していて、それがBO業者の利益につながっている、そしてその利益は4億9000万ドル(約357億円)になると調査結果を発表。
BOは、経済的価値を世の中になんら提供していないと強く批判しています。
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多くの国でBO業者は「悪」とみなされている
ご覧の通り、多くの国でBO業者は「悪」とみなされ、消費者保護の観点からBO規制は不可欠であると断言しています。これがBOに対する世界の認識なのです。
ところが日本では、そんなニュースはいっさい流れません。国民の大半が知りません。日本国内ではいつものごとく様々な利権や根回し、御用政治家の存在etc.によってゆるーく守られています。
そして、なによりも日本と蜜月関係にあるアメリカがBOを許容していることが、日本国内のBO業界にとって大きな後ろ盾になっているわけです。逆に言えば、アメリカがBO禁止に踏み切れば、日本も従わざるを得ないでしょうね。