IGマーケッツ証券もスプレッド競争に参加
昨日のニュース(2013年1月17日)です。IGマーケッツ証券が、ドル円(USDJPY)にて0.6銭の固定スプレッドを開始するそうです。スタートは、1月19日です。
IGマーケッツ証券は、旧名称FXオンライン・ジャパンです。2011年2月19日にイギリスIGグループの傘下に入り、社名変更しましたね。もともとは、相場状況に応じて0.6~0.9銭での可変スプレッドでしたが、1月19日からは(3:00PM~翌日1:00AMの間のみ)0.6銭固定になります。(※夏時間は、2:00PM~翌日00:00AMのみ)
GMOクリック証券やDMM.com証券が仕掛けたスプレッド競争に、いよいよ他の証券会社も飲み込まれていきます。
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ドル円0.11銭の業者すら存在する
昨年(2012年)6月には、ドル円0.11銭(原則固定)という業者も登場しました。
- SBI FXTRADE
ドル円0.11銭ですよ!ユーロ円ですら0.59銭です。・・・ほとんど儲け度外視ですね。SBI FXTRADEはSBIホールディングスのグループ会社です。SBIホールディングスといえば、あの北尾吉孝さんの会社ですね。北尾氏は8年前の堀江氏によるフジテレビ買収劇において、フジテレビ側のホワイトナイトとして颯爽と登場した人物です。
過度なスプレッド競争の是非
スプレッドが安く、そして(ほぼ)固定になることは、一見我々個人投資家にとっては非常にありがたいことのように思えますね。しかし本当にそうなのでしょうか?
スプレッドは業者にとって最大の収益源の1つです。スプレッドを圧縮することは、各業者の収益に大きく影響を及ぼします。結果的にFX業者の体力をそぎ落とし、会社としての健全性を損なう恐れもあります。そのツケは必ず我々ユーザーにまわってくるでしょう。
スプレッドを低くすることばかりに注力しすぎて、約定力などが疎かになってくる事が懸念されます。
アベノミックスでスプレッド競争は加速する?
昨年末の選挙で自民党が圧勝した結果、安倍総裁主導のアベノミックスがいよいよ動き出しています。
アベノミックスを実現させるための主要な会議「産業競争力会議」には、なんとあの竹中平蔵氏が参加しています。竹中氏は、小泉政権時代に多くの規制緩和を実現した人物ですね。様々な規制をとっぱらい、結果的にアメリカ型の超競争社会を生み出しました。
そんな竹中氏がアベノミックスのブレーンになっているのです。今後も、様々な分野で規制緩和の方向に向かうような気がします。
古い記事ですが、過去(2009年)に金融庁も過度なスプレッド競争に警告を発しています。
金融庁は外国為替証拠金取引(FX)業者が売値と買値の価格差を示す「スプレッド」を過度に低く抑えていることを問題視し、業者に向けて警告し始めた。
行き過ぎた競争で採算が悪化することを警戒するとともに、虚偽広告の恐れもあるとみて、監督指針を改正する。重大であれば業務停止命令を発動できるようにする。
FX業者は外国銀行などからドルなどの外貨を仕入れて、一定の手数料を乗せ顧客に販売する。例えば1ドル=97円50―52銭であれば、97円50銭で買い、同52銭で売り、差額の2銭がスプレッドというわけだ。
現在、FX業者の間で手数料を含めた価格差を投資家でなく業者が負担する「低スプレッド競争」が起きている。
引用:NIKKEI NET
しかし今後、アベノミックスによって経済・金融の緩和が進められれば、金融庁によるスプレッド規制などは、実現からほど遠くなりそうです。
「スプレッド競争大いに結構!」
「競争に負けたら、市場から撤退してね!」
ということになりそうです。
この自由競争によって私たち個人投資家にしわ寄せが来なければよいのですが・・・
チキンレースの”ツケ”は個人投資家へ
スプレッドを縮小することで、顧客を確保(他から奪う)&顧客の増大によって薄利多売を行っているのが、現在の業界です。多くの業者がスプレッド競争に参加せざるを得ない状況に陥っています。参加しないと、より狭いスプレッド業者に顧客を奪われるからです。
自らの利益を圧迫しながらも、スプレッド競争に参加する・・・まるでチキンレースですね。このチキンレースのツケは、いずれ私たち個人投資家が払わされる可能性があります。体力の限界に達した業者が撤退・倒産したり、意図的なスリッページ(約定拒否)を多発したり、再びユーザーに不利なレート操作が行われたり、相場の急変などでシステムダウンが起きたり・・・
何もなければ、それでよいのですが、相場が急変・荒れた場合などは、注意が必要です。業者のシステムダウン・不正操作などで、あっという間に、大切な資金を失う恐れもあります。
過剰なコストダウンと健全性・安全性を両立させることは非常に大変なことです。どこかにムリが来るでしょう。
大切なのはスプレッドと約定力のバランス
スプレッドもコストとして無視できませんが、大切なのは約定力とのバランスです。スプレッドを重要視する方は、おそらくスキャルトレーダーやデイトレーダーが多いと思います。トレード回数が多いユーザーにとって、スプレッドコストは無視できません。
一方、スキャルトレーダーやデイトレーダーにとっては、約定能力も重要な要素です。自分が買いたい(売りたい)値段で約定しなければ、いくらスプレッドが狭くても、その恩恵を手にすることができません。ですので、スプレッドが最低幅でなくても、約定能力が高い業者を選択するべきです。
あえて、ここでは推奨業者を書きません。人によって、取引プラットホームのインターフェイスなど好みは様々だからです。スプレッドの狭さだけに囚われることなく、約定能力やプラットホームの使いやすさなど、様々な要素で業者を選択するべきです。
そのためには、実際に複数の業者で口座を開設して、トレードしてみる必要があります。デモ口座ではなく、リアル口座で開設することです。デモとリアルでは、実際の約定能力(スリッページ)などが違います。必ずリアル口座を開設し、様々な時間帯で取引をしてみることです。
そうすれば、自ずと自分にあった業者が見えてくると思います。面倒ですが、長く付き合う業者を選ぶのですから、是非やるべきです。