「ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~」は押し目・戻りを狙う逆張りEAだ
あの「ドルスキャワールドFX」がEAになった
サインツールのドルスキャワールドFXが、EA(自動売買)になって新たにリリースです。
タイトル:ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~ 販売:株式会社金馬新聞 メディア:EA(自動売買ツール) 発売日:2017年09月06日 ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~【公式サイト】 |
ドルスキャワールドFXオート(自動売買)のレビューの前に、そのベースとなった前作ドルスキャワールドFXの概要を振り返ってみましょう。過去のレビュー記事はこちらです。
チャート上に矢印シグナルを点灯させるインジケーターとして開発・販売されていました。内容は次のとおり。
- ロジック:カウンタートレード・スキャルピング
- 推奨通貨ペア:USDJPY(ドル円)
- 推奨時間足:1分足
- 平均保有時間:10分〜1時間
以下のチャート動画を見ればシグナルがどのようなタイミングで点灯しているかよくわかります。
ドルスキャワールドFXは、逆張りロジックに加えトレンド時の押し目・戻しを拾うスタイルです。大きな矢印で相場の反転を確認し、その後、小さな矢印点灯タイミングでENTRYします。手仕舞いは逆方向の矢印点灯タイミングです。
スキャルEAにしてはENTRY数の少なさが特徴的
今回の「オート(自動売買ツール)」版は、前作ロジックをほぼそのままEAに移植したツールです。自動売買化するにあたり、1分足に加え5分足にも対応させています。
気になるのはENTRY回数の少なさです。
- 2013年…1分足200回、5分足32回
- 2014年…1分足201回、5分足30回
- 2015年…1分足216回、5分足45回
- 2016年…1分足216回、5分足47回
過去4年分の1日平均ENTRY回数を算出してみます。ざっくりと1年=52週✕5日(平日)✕4年=1040日として計算します。
- 1分足…平均0.8回/日 (833回÷1040日)
- 5分足…平均0.14回/日(154回÷1040日)
ごらんの通り、1日に1回ENTRYするかどうか、という回数ですね。過去4年間でわずか987回という検証データーは、スキャルEAの優位性を裏付けるにはちょっと少ないなという印象です。
ナンピン・マーチンゲールはしない
バックテストによる成績グラフを見た限りにおいては、ナンピン・マーチンゲール型のEAではないことが一目瞭然です。
成績グラフは山あり谷ありですですが、年別に見れば、プラスで終わっています。
DD(ドローダウン)による含み損は、EAの”踏み絵”だ
2014年、2015年には大きなドローダウンもあり、積み上げた利益の大半(8割〜9割)を吹き飛ばしています。
このドローダウンですが、どちらの年もある程度の利益を積み上げた後に発生しています。でも…あなたが運用開始直後に、ドローダウンが発生していたら?
上の画像は、2014年中期以降と2015年前半の運用成績を繋げたものです。運用開始直後に大きなドローダウンが発生して含み損を抱えてしまっています。
このときに、あなたは冷静にEAを使い続けられる自身がありますか?
もっと最悪なシミュレーションをご紹介します。
上の図は、販売ページにに掲載されている1分足(2014年と2015年)の運用成績グラフをつなぎ合わせたものです。
2014年後期から運用を開始し、2015年の末まで稼働させた場合のシミュレーションです。初頭に大きなドローダウンに見舞われ、14年の年末にかけてなんとかプラマイゼロまで戻します。2015年に入って順調に利益を積み上げるも、またもや15年下半期に大きなドローダウンで利益を全て吹き飛ばします。
1年以上かけて運用した結果、全ての利益を吹き飛ばし、ゼロになってしまったパターンです。せっかく初期のドローダウン(含み損)を耐えたのに…という残念な結果です。このシミュレーションは決して絵空事ではありません。十分に起こり得るシナリオの1つです。
ドローダウンによる含み損は、まさにEA運用における”踏み絵”です。含み損を抱えてもそのEAを使い続けるかどうか、あなたは試されているわけです。まさに試練ですね。この過酷な”踏み絵”を踏み、乗り越えられた人だけが、その後の利益を手にすることができるのです。
そのうえ、この試練(ドローダウンによる含み損)は、いつ発生するか予測が全くできません。運用開始直後にドローダウンが発生する可能性も十分にあります。その時にあなたは耐えられますか?
EAを使い続けることの難しさ
市販されているEAを使い続けることの難しさは、このブログで何度も触れています。
- FX自動売買ソフト「不知火(しらぬい)」【検証とレビュー】
- steady-FX(ステディーFX)【検証とレビュー】
- かんなぎFX【検証とレビュー】
- 優秀なEAを選ぶシンプルな方法とは?
- FXKousui Baggioが口座全損
- 100円を目前にしたUSDJPYに気になるEAは息をしているか?
- GOLD KOUSUI (幸水)の公式成績が破綻した
- トリニティスキャルパーFXが鳴かず飛ばず
- 94円でW2C-Clipper(クリッパー)が破綻
- 【ドローダウン】マイルストーンFXのその後が目も当てられない
- FXコアがドローダウン
EAが全てダメだとは思いません。過去には信じられないほどの成績を叩き出したEAも国内外で存在します。早朝スキャルEAなどはその典型です(今ではほぼ使えませんが)。
結局、人の作ったEAを使い続けるには、ドローダウンや含み損に耐えられるだけの強靭な精神力と、持ちこたえられる資金力(もしくは適切な資金管理)が必要とされるのです。
市販EAを使い続けるには、そのEAを心底信じ切る必要があります。ドローダウンに遭遇しても含み損を抱えても、そのEAのポテンシャルを信じることで耐えられるのです。
しかしなかなかそれができません。大半の人が、すぐに不信感を抱きます。
あれ?なんだか負けが続いてるぞ?
今日も負けた…やばい!どんどん資金が減ってる!このままでは含み損を抱えるぞ!どうする?我慢するか?
また負けた!どうする、どうする?マイナスになったぞ!まだこのEAを使い続けるか?どうしよう?(オロオロ)
また損切りだ!含み損が膨らんでいる!もうダメだ!このままではお金がなくなってしまう!
しかたがない、もう止めよう…
なんだ!全然勝てなかったよ!ひどいEAだ!
ところがその後、EAは持ち直して含み損を解消し、プラスに転じる…EAのポテンシャルを信じて含み損に耐え、運用を続けていれば大きな利益を手にできたかもしれない…そんなことが普通に起きる世界です。
「ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~」総合評価
【結論】あなたはドローダウンという”踏み絵”を踏む覚悟があるか?
結局、市販EAを使い続けるには、そのEAのポテンシャルを心の底から信じられるかどうかにかかっています。生半可な忠誠心では、少しのドローダウンで不安がマックスになります。「ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~」も決して例外ではありません。
どんなに優れたEAでも、ドローダウンしないEAなどこの世に存在しません。相場状況によってはなかなか勝てず、損切りを繰り返すケースがあります。一定期間に負けが増えればドローダウンを発生させます。
「最大ドローダウンは未来に来る」という言葉があります。どれほど緻密にシミュレーション(バックテスト)しても、最大ドローダウン(MAX DD)は実際の運用中に発生する、という意味です。この格言を理解しているトレーダーがどれほど存在するでしょうか。
「ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~」のポテンシャルは、バックテストだけではわかりません。販売者がフォワードデータをmyfxbookなどで公開し、半年〜1年くらい経過した後に購入検討すべきかもしれませんね。
タイトル:ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~ 販売:株式会社金馬新聞 メディア:EA(自動売買ツール) 発売日:2017年09月06日 ドルスキャワールドFXオート~自動売買版~【公式サイト】 |