FX会社は、本物の為替市場を精巧に模した”ニセモノの為替市場”を作っている…
前回の記事『あなたは”外国為替市場で取引している”と勘違いしていないか?』に質問をいただきました。
各FX会社は、本物の為替市場を精巧に模した”ニセモノの為替市場”を作っているという内容が、どうもピンときません。
FX会社はインターバンク市場と直結しているのではないですか?
勝手にニセモノの為替市場を作ったとして、それがちゃんと動いているのかを消費者はどうやって確認するのですか?
それぞれのFX会社が独自にヴァーチャル空間(ニセの為替市場)を作っているという現実が腑に落ちないようですね。
しかし、あなたがFX口座を解説する際に交わした「契約締結前交付書面」にもしっかりと明記されている事実です。
以下の文章はGMOクリック証券の「契約締結前交付書面」から引用したものです。
3. 取引価格
当社が会員ページにおいて表示している店頭外国為替証拠金取引に係る各通貨の価格は、インターバンク市場に参加している当社のカバー取引先から提供される最新の価格を参照し、当社がお客様向け取引レートとして算出したものです。
あなたがGMOクリック証券で目にする通貨レートは、「インターバンク市場に参加している当社のカバー取引先(=銀行等)から提供される最新の価格を参照し」、GMOが独自に「お客様向け取引レートとして算出したもの」だ、と記載されていますね。
つまりインターバンク市場のレートをそっくりそのまま(100%正確に)あなたに提示しているわけではないのです。
あくまでもインターバンク市場の価格を「参照」したうえで独自に「算出」したレートなのです。
つまり、GMOクリック証券が独自に”外国為替市場(=インターバンク市場)を精巧に模した為替市場”を作り、私たちはその中で通貨の取引を行っていることになります。
GMOクリック証券だけではありません。すべてのFX会社が同様のヴァーチャル空間(ニセの為替市場)を独自に持っています。
以下の「契約締結前交付書面」はSBI証券のもの。
当社は、SBI リクイディティ・マーケット株式会社がインターバンク市場の実勢外国為替レートを基に提示している為替レート(以下、「カバー取引為替レート」といいます。)に、一定の額を加減した為替レートをお客様に提示しています。
インターバンク市場のレートに一定額を加減した為替レートを提示していると明記されていますね。”一定額”とはSBIの独自基準です。
A社の為替市場空間とB社の為替市場空間は(似ているが)同じではない
A社の為替市場空間とB社の為替市場空間は、(似ていますが)同じではありません。なぜなら各社が独自に構築しているからです。
GMOクリック証券の為替レートと、SBI証券の為替レートは厳密には異なります。
どちらもインターバンク市場(外国為替市場)のレートを参照はしていますが、そのレートに各社独自の計算を加えたレートを提示しているのです。
だから、同じタイミングで以下のようなレートの違いが発生するわけです。
- A社…ドル円:116円19銭
- B社…ドル円:116円17銭
- C社…ドル円:116円20銭
この程度の違いならば別にどうってことありませんが、問題は激しくレートが動いたときです。
- A社…ドル円:110円15銭
- B社…ドル円:110円11銭
- C社…ドル円:109円45銭!
C社だけ大きく乖離したレートが表示されてしまう…これがリスクです。もちろん大抵のFX業者は、レートの異常値に対してはなんらかの保証(取消など)が行われることが多いのですが、それも絶対ではありません。そのままロスカット…というケースも起こり得ます。
しかし、FXは相対取引ですので、他社のレートやインターバンク市場レートと乖離していたとしても、法的にはまったく問題ありません。
悪意のあるFX業者が意図的にストップ狩りを仕掛けたとしても、違法ではないのです。
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レートは各業者が独自に(勝手に)作成している←真実
極論を述べるならば…
ということ。この事実を知らないFX初心者が多いのですね。
最初の質問に戻りましょう。
各FX会社は、本物の為替市場を精巧に模した”ニセモノの為替市場”を作っているという内容が、どうもピンときません。
FX会社はインターバンク市場と直結しているのではないですか?
勝手にニセモノの為替市場を作ったとして、それがちゃんと動いているのかを消費者はどうやって確認するのですか?
直結していないのじゃよ。
インターバンク市場のレートを参照してFX会社が独自の計算を加えた上で消費者に提示しているのじゃよ。
われわれ消費者がFX会社のレートの正確性をチェックする方法はないぞ。
まあ、銀行の公示レートを毎度確認して照らし合わせるという面倒な方法がなくはないが、それをしたところでどんな意味がある?
結局はわれわれはFX会社を通じてしかFX取引はできないのじゃからな。
私たちは、FX会社が作ったヴァーチャル為替市場の中でしか、通貨の取引ができません。これはどうしようもないのです。
私たちにできることがあるとすれば、信頼性の高いFX会社を選択することだけなのです。