fisher.mq4について
前回の記事でfisher.mq4を活用したBBands Stopの手仕舞い戦略を解説しました。
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ところでfisher.mq4というインジケーターを初めて耳にしたトレーダーも少なくないと思います。日本国内では使っているトレーダーもあまり見かけないので、ちょっと珍しい部類のインジケーターですよね。
fisher.mq4はサブウィンドウに表示させるテクニカル指標です。MT4に設定するとこんな感じ。
見た目はMACDのような雰囲気です。トレンドに同調してヒストグラム(棒グラフ)が時系列に並びます。ゼロラインを境にヒストグラムの色が変わります。
fisher.mq4はトレンドの”方向”と”強さ”を検出する
さて、fisher.mq4が何を表しているかといえば以下の2つです。
fisher.mq4が検出する項目
- トレンドの方向
- トレンドの強さ
説明しなくても見ればわかりますよね。
トレンドの方向はヒストグラムの色が示しています。上昇トレンドは緑色、下落トレンドは赤色です。
そしてトレンドの強さはヒストグラムの長さが示しています。
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fisher.mq4計算式のベースは”フィッシャーのZ変換”
fisher.mq4は、パラメーターで定めた期間(初期値は10)における最大価格と最小価格を現在価格と比較することで、トレンドの転換点を算出します。
fisher.mq4の計算にはフィッシャーのZ変換と呼ばれる複雑な計算式を使います。このことから、fisher(フィッシャー)と呼ばれているわけですね。開発者はJohn F Ehlers(ジョン・F・エーラース)。
fisher.mq4の計算式をここで解説してもちんぷんかんぷんでしょう。
MinL = Low[Lowest(NULL,0,MODE_LOW,period,i)];
price = (High[i]+Low[i])/2;
Value = 0.33*2*((price-MinL)/(MaxH-MinL)-0.5) + 0.67*Value1;
Value=MathMin(MathMax(Value,-0.999),0.999);
ExtBuffer0[i]=0.5*MathLog((1+Value)/(1-Value))+0.5*Fish1;
Value1=Value;
Fish1=ExtBuffer0[i];
期間(10)における高値・安値を取得し、高値と安値の平均値のストキャスティクス値を算出して平準化しているのですが、細かいことは知らなくても良いと思います。
fisher.mq4は”後出しジャンケン”型のインジケーターであることに注意!
fisher.mq4初見のトレーダーは、本インジケーターを高く評価しがちです。なぜなら、驚くほど”完璧なタイミング”でトレンド転換を示しているように見えるからです。
実は、fisher.mq4はリペイント型のインジケーターであり、未来のローソク足(これから描かれるローソク足)の値によって過去のヒストグラム値を再計算し直し、微調整したうえでリペイント(再描写)します。いわば”後出しジャンケン”的なインジケーターなのですね。
注意!※fisher.mq4をリペイントしなようにカスタマイズしたインジケーターもネット上に存在しますが、当然本家よりはシグナルが遅れます。
つまり、チャートにfisher.mq4を表示させた時点で、それより以前のローソク足(過去チャート)においては、常にヒストグラムの前(未来)と後ろ(過去)のローソク足値(四本値)をベースに計算し表示させているため、完璧なタイミングで値動きを捉えているように見えてしまうということ。
リペイント型であることを知らないトレーダーにとって、この手のインジケーターは、過去足だけを見ると非常に魅力的なツールに見えてしまうのですね。
リペイントするから使えない!ではないということ
リペイントするから実際のトレードでは使えない!と思ってしまうかもしれませんが、一概にそうとは言えません。リペイントすることを知った上で上手く活用して取引しているトレーダーも多く存在します。
リペイントする代表的なインジケーターとして、フラクタルやジグザク(ZIGZAG)などがありますよね。これらも、その特性(リペイント)を理解した上で使うならば、非常に有用なツールです。
一つ言えることは、リペイント型インジケーターは単体で使いずらい(単体で使うことは推奨しない)ということです。あくまでも環境認識ツールの一つとして、あるいは複数のインジケーターによってフィルタリングすることを前提に使うことがベターです。