ZigZag(ジグザグ)とは?
前回、インジケーターのリペイント問題について語りました。
すべてのリペイント系インジケーターが悪いわけではなく、中には意図的に(あえて)リペイントするように設計されているインジケーターもあるとお伝えしました。その代表格がZigZag(ジグザグ)です。
ZigZag.mq4(ジグザク)、よく見かけませんか?FXトレーダーの中でも愛用者はかなり多いのではないでしょうか?MT4にも標準装備されているほどメジャーなテクニカル指標です。
ZigZag.mq4(ジグザク)はリペイントツールの代表格だ
ZigZag.mq4(ジグザク)は御存知の通りリペイントします。
上の動画にあるように、ローソク足が更新されるとZigZagの最新のラインが引直されていますよね。これがリペイントと呼ばれる現象です。
ZigZagは、短期的なノイズを排除してシンプルな山と谷のみ(=波形)をあぶり出す
とはいえ、ZigZagがリペイントされることは多くのトレーダーが知っています。知っていてあえて使ってるんですね。最新ラインがリペイントされることはZigZagにとってそれほど重要なことではありません(もちろんリペイントの動きをチェックすることも大切です)。
むしろリペイントされるライン以前のZigZagが描写した過去のジグザグラインのパターンのほうが多くの示唆を与えてくれます。
ZigZagによって描写される山と谷(=波形)は、価格動向やサポート・レジスタンスの領域、ヘッドアンドショルダー、ダブルボトム・ダブルトップなどの古典的なチャートパターンを判断するのに非常に役立ちます。
また、高値切り上げ安値切り上げの上昇トレンド、高値切り下げ安値切り下げの下落トレンドなどの判定にも大いに貢献してくれるツールです。
これらはZigZagが短期的なノイズを排除してシンプルな山と谷(波形)をあぶり出してくれるから可能なのです。
ZigZag(ジグザグ)はどのようなロジックでラインを描写しているのか?
ここで気になる人もいると思います。はたしてZigZag(ジグザグ)はどのようなロジックでラインを描写しているのか?ということ。
今回はこのZigZag(ジグザグ)のロジックについて紐解いていきます。
ちなみに、ZigZag(ジグザグ)という言葉ですが、日本人の我々も日常会話の中で当たり前のように使っているので日本語だと思っている人がいるかもしれませんが、実は英語(英単語)です。「ジグザグの動き、Z字形」という意味があります。そのまんまですね。
ZigZag.mq4(ジグザク)の解説については、MQL5サイトに短くまとめらてているので、そちらを引用します。
ジグザグは、特定の天井と底の価格を線で結んだものです。
新しい”ジグ”、”ザグ”を成形するために、最小の価格変化パラメーターは、価格が動く比率を決定します。このインジケーターは、特定の値よりも少ない変化は考慮に入れません。したがって、ジグザグは重要な変化局面のみを反映します。
多くの場合、ジグザグが重要な変化や転換のみを反映するように、ジグザグの比率を設定します。ジグザグを使えば、エリオット波動や様々な波形を発見することができます。
最新のインジケーターのサインは変わる可能性があるということを認識しておくことが重要です。株価の変化がインジケーターの直近の値を変化させてしまうタイプのインジケーターです。ジグザグの価格変化によって値を修正する機能は、過去の価格変化を分析する上で、完璧なツールと言えます。したがって、ジグザグに基づいてトレードロジックを構築するべきではありません。予想をたてるよりも、過去のデータを分析するのに適しています。
過去の高値(山頂)と安値(谷底)をラインで繋ぐ
一定以上の価格変動を捉え、最高値(山)と最安値(谷)を定義して、その点と点をラインで結んでいきます。
最高値(山)の次は必ず最安値(谷)がくるように設計されています。つまり山→谷→山→谷…と、山と谷が交互に表示されるわけですね。その結果、ラインがジグザグを描くことになります。だからZigZag(ジグザグ)と呼ばれているのです。
ZigZag.mq4(ジグザク)が過去の高値(山)と安値(谷)をつないでいることは、チャートを見ればなんとなく理解できますよね。
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ZigZagロジックの概念的な解説をするよ!
ポイントは、過去の高値(山頂)・安値(谷底)をどのようにして定義しているか?ですよね。
まず知っておいてほしいのですが、ZigZagには様々な派生が存在していて、その計算式も少しずつ異なります。従いまして、ここでは細かな違いはひとまず置いておき、ZigZagロジックの概念的な解説をします。
まずZigZagがなにをしているか?ですが、ランダムな価格変動(ノイズ)を排除し、大きなトレンド転換点のみを炙り出し、高値・安値としてチャート上にプロットしています。
細かな価格変動(ノイズ)を排除する(フィルタリングする)ためにはどうするか?価格変動の比率を事前に定め、その変数よりも大きな動きがあった時にチャート上にポイントをプロットするように計算します。
スイングハイ とスイングロー(=両サイドにより安い高値・高い安値がn本あるローソク足=フラクタル)の間に、事前に定めた割合(パラメーター内のDeviation=偏差=5%)を超える価格変動がある場合にのみ、新たなポイントをプロットしていきます。逆に言えば山と谷の価格差が5%に満たない場合はスルーします。
スイングハイ とスイングローを定めるパラメーターがBackstep(バックステップ=デフォルトは3)。つまり高値をあぶり出すために、直近3本のローソク足より現足が高いことをチェックします。安値の場合も同様です。直近3本のローソク足よりも現足が安いことをチェックします。
高値ポイントをプロットし終わったら、次は安値ポイントをプロットします。原則、交互におこないます。ただし、価格が下落せず、さらに5%以上の変動幅が確認できた場合は、新たなピークを高値ポイントとしてプロットし直します。この動きこそがリペイントなのですね。
新たなピークを高値としてプロットした後、価格が下落すれば安値のピークを探し始めます。そして偏差(5%)を超える変動幅が確認できれば、安値ポイントとしてプロットし直近の高値ポイントからラインを引きます。その後価格が上昇せず、5%を超える変動幅(下落幅)が確認できれば、新たなピーク(谷)を安値ポイントとして再プロットします。これがリペイント。
山(高値ピーク)や谷(安値ピーク)をつけた後に、逆方向に一方的にレートが延びた場合、ZigZagはその新たなピークを追いかけるようにラインをリペイントし続けます。
もう一度以下の動画をごらんください。
細かな山と谷は排除しつつ、一定幅以上の価格変動ポイント(ピーク)をチェックしながら、最新のピークを探し続けていますね。
ZigZagは、2ステップを経てピーク(山と谷)を決定する
ZigZagの動きをわかりやすく説明すれば、2ステップでピーク(山と谷)を決める動きをしていると言えます。
最初のステップは、ピーク(山と谷)の候補の検出です。次のステップは、ピーク(山と谷)の確定です。
- ピーク(山と谷)候補の検出
- ピーク(山と谷)の確定
この2段階のステップを踏むから、リペイントという現象が起きるわけです。候補はあくまでも候補であり、新たな条件を満たすピークが出現すれば、過去のピーク候補は切り捨てられます。さらに新たな条件を満たすピーク出現とともに、2番目の候補も切り捨てる…この動きがリペイントとして現れます。
ピークが確定するのは、逆側のピーク候補が出現したときです。つまり山ピークの確定は谷ピークの候補が出現したタイミングとなります。
ZigZag.mq4(ジグザク)のパラメーター設定を解説するよ!
最後に、ZigZag.mq4(ジグザク)のパラメーターを説明しておきますね。
3つの項目で構成されています。
- Depth(深さ)…新しいピークを描画する最小間隔を設定(=初期値は12)
- Deviation(偏差)…高値/安値を形成するために必要な最小の価格変動を設定(=初期値は5%)
- Backstep(バックステップ)…ピーク炙り出しのためのローソク足の最小数を設定(=初期値は3)
まとめ|ZigZag.mq4(ジグザク)は市場のノイズを排除する
なんとなくZigZag.mq4(ジグザク)がなにをしているか、理解できたと思います。細かな計算式を解説すると非常にややこしくなるので、ここでは概念の解説のみにとどめておきます。
ZigZag.mq4(ジグザク)がやっていることは、短期的なノイズを排除してシンプルな山と谷のみ(=波形)をあぶり出し、大局的な市場の傾向をラインでプロットしいるのですね。
最新のピーク(山・谷)を探すためにリペイントはしますが、それは大した問題ではありません。ZigZag.mq4(ジグザク)は、過去(直近)の波形・パターンを分析することに意義があり、その点においては極めて有益なツールなのです。