PIVOT使うんだったら正しい計算式を学んでおくのも悪くないよね?
前回の記事、PIVOT(ピボット)の本質をJ.W.ワイルダーの原書から読み解くの中で、ピボットの原型はワイルダーの『THE REACTION TREND SYSTEM』であると解説しました。
出典はJohn Welles Wilder.Jr(J.W.ワイルダー)の『New Concepts in Technical Trading Systems 』です。
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PIVOTの正しい計算式をワイルダーの原書から学ぶ
前回はサラッと解説しましたが、今回はもう少し中身を掘り下げて詳しく説明していきますね。まずは、ワイルダーの『THE REACTION TREND SYSTEM』に掲載されている概略図を見てください。
このままでは分かりにくいので、現代版PIVOTの概念を重ねて図解します。
ようやく現代版PIVOTの概要が見えてきましたね。ワイルダーの原書に基づいて、正しい計算式を紐解いてみましょう。まずは原書で使われている記号を解説します。
- H:前日高値
- L:前日安値
- C:前日終値
そして、
- X:PIVOT POINT(ピボット・ポイント)
次に計算に使われる値がこちら。
- D1=HーX(前日高値からピボット値を引いたもの)
- D2=XーL(ピボット値から前日安値を引いたもの)
- D3=HーL(前日高値から前日安値を引いたもの)
求める値は以下の通り。
- B1:Buy1(いわゆる支持線…買いチャンス)
- S1:Sell1(いわゆる抵抗線…売りチャンス)
- HBOP:High Break Out Point(上方ブレイクアウトポイント)
- LBOP:Low Break Out Point(下方ブレイクアウトポイント)
現代版PIVOTの「PIVOT POINT」の計算式
では実際に計算式を詳しく解説していきます。まずは中心となるラインPIVOT POINT(ピボット・ポイント)「X」を計算します。
計算式は極めてシンプルですね。前日の高値(H)、安値(L)、終値(C)の平均値を算出したものがPIVOT POINT(ピボット・ポイント)「X」です。
現代版PIVOTの「S1」と「R1」の計算式
ワイルダーの原書ではB1と記載があるものが現代版PIVOTにおける「S1」であり、S1と記載があるものが現代版PIVOTにおける「R1」です。
- B1…S1(Support1=支持線1)
- S1…R1(Resistance1=抵抗線1)
このあたりがちょっとややこしいのですが、間違わないようにしましょう。では、B1(Buy1)を計算します。B1は以下の計算式で求めます。
=Xー(HーX)
=2XーH
つまり、ピボット値からD1(前日高値からピボット値を引いたもの)を引いた値がB1(=現代版PIVOTの「S1」)なのですね。S1(Sell1)はその逆で計算します。
=X+(XーL)
=2XーL
ピボット値にD2(ピボット値から前日安値を引いたもの)を足した値がS1(=現代版PIVOTの「R1」)です。
現代版PIVOTの「S2」と「R2」の計算式
では次に原書では解説のない「現代版PIVOTにおけるS2とR2」の計算式をみていきます。まずはS2(Support2=支持線2)です。以下の計算で求めます。
=Xー(HーL)
ピボット値から、前日高値から前日安値を引いた値を引いて求めます。R2(Resistance2=抵抗線2)はその逆。
=X+(HーL)
ピボット値に、前日高値から前日安値を引いた値を足して求めます。
現代版PIVOTの「S3」と「R3」の計算式
では最後に、現代版PIVOTの「S3」と「R3」の計算式です。ワイルダーの原書ではそれぞれ以下のように定義されていますね。
- S3=LBOP:Low Break Out Point(下方ブレイクアウトポイント)
- R3=HBOP:High Break Out Point(上方ブレイクアウトポイント)
ではS3(Support3=支持線3=LBOP)から求めます。
=Xー{(HーL)ー(HーX)}
=2Xー2H+L
※原書ではHBOP=Xー{(HーL)+(HーX)}と記載されていますが、おそらく誤植と思われます。
ピボット値から、D3(前日高値から前日安値を引いたもの)とD1(前日高値からピボット値を引いたもの)を引いて算出したものがLBOP、つまりS3です。次にR3(Resistance3=抵抗線3=HBOP)を計算します。
=X+{(HーL)+(XーL)}
=2Xー2L+H
※原書ではHBOP=Xー{(HーL)+(XーL)}と記載されていますが、おそらく誤植と思われます。
ピボット値に、D3(前日高値から前日安値を引いたもの)とD2(ピボット値から前日安値を引いたもの)を足して算出したものがHBOP、つまりR3です。
PIVOT(ピボット)の計算式は、理解できれば極めてシンプルだ
さて、ざっとPIVOTの計算式をJohn Welles Wilder.Jr(J.W.ワイルダー)の『New Concepts in Technical Trading Systems 』原書をベースに解説しました。一見小難しく感じるかもしれませんが、理解できれば極めてシンプルであることがわかります。せっかくPIVOTを使うのであれば、その概念を計算式から理解しておくことも大切ですね。