伊藤忠元社員による7億円着服事件
また事件ですね。伊藤忠の元社員が会社のお金を横領し、FX投資につぎ込んだニュースです。事件そのものは4月に発覚していますが、今回のニュースは、その元社員の逮捕です。その額7億円ともいわれています。
この手の横領事件は、今回に限らず、過去に何度も起きています。過去の事件をチェックしてみましょう。
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過去に起きた「横領→FX投資=逮捕」事件
- 2014年5月
38歳会社員がFX投資を目的に240万円を横領しFXにつぎ込み逮捕、使途不明金は2億円 - 2014年5月
りそな銀行20代行員が顧客から1億5000万円を横領、FXで運用し大半を溶かす - 2014年4月
京都職員が取引先から1100万円を騙し取り、FXにつぎ込み逮捕 - 2013年6月
ロボット製造会社社員が1億1000万円を着服、FXに投資し、逮捕 - 2013年5月
IBM関連会社の社員が3億円を横領しFX投資、逮捕 - 2013年1月
鋼材商社の社員が2億8000万円を横領、投資(FX・株)につぎ込み、逮捕
過去2年間だけでも、大きな事件がいくつかありますね。「FX 横領」で検索しただけで、軽くヒットしました。ニュースにならない横領事件は、もっと存在するでしょう。
JAバンクで9年間に発生した横領は187件
こんな驚くようなデータもあります。
「JAバンク」で知られる全国の農協の信用(金融)事業で、2004~12年度の9年間に、職員による貯金の横領などの不祥事が861件あり、被害額は187億円にのぼることがわかった。JAバンクをとりまとめる農林中央金庫(東京)が明らかにした。
引用:朝日新聞digital 2014年3月3日
JAバンクだけで、職員による861件の横領があり、被害総額が187億円だそうです。9年間で861件ということは、1年間で約95件も横領事件が発生していることになります。JAバンクだけで…。
これは社会全体から見れば、氷山の一角でしょう。少額の横領などを計上すれば、それこそとんでもない件数になりそうです。
お金を扱う役職と認知的不協和理論
なぜ、横領→投資(ギャンブル)事件はなくならないのでしょう?会社のお金を横領する人々は、横領できるポジションにいる人が多いですね。経理担当者であったりとか。帳簿をごまかしてお金を抜き取ることができる立場の人たちです。
最初は、後で返すつもりで、ちょっとだけお金を拝借したのかもしれません。この、「あとで返すつもり」という心理が、自分の行動(横領)を正当化してしまうのでしょうね。
この心理状態は、認知的不協和理論(congnitive dissonance theory)でも解説できます。認知的不協和理論とは、自分の中で生じた矛盾を解決するために新たな行動を起こしてしまうことを心理学的に解説した考え方です。
通常、横領そのものは「泥棒」なので、悪いことだと認識しています。魔が差して横領してしまった人間は、「泥棒をしてしまった」という自分のマイナスの心理を、「後で返せば大丈夫」というアイデアで、正当化しようとします。
特にFXなどの投資につぎ込む場合は、「うまくいけば、横領したお金を増やせる!そうすれば後で返せばいい。」と安易に考えてしまうのでしょうね。なので、罪(泥棒)の意識が希薄なのです。
しかしながら、投資はそんなに簡単ではありません。損失が徐々に膨らみ、その損失を埋めようとして、新たな横領をしてしまう。この繰り返しで、徐々に横領額が大きくなってしまう。そして発覚。額が大きければ告訴&逮捕。
大抵の横領事件の経緯は、こんな感じです。
横領に手を染めてしまうような人が、投資で勝てるわけがない
身も蓋もないのですが、そもそも横領する人が、投資で勝てるはずがありません。横領する人は大抵、意志が弱いので誘惑に打ち勝つことができません。だからお金を触れるポジション(経理担当など)にいると、人のお金だとわかっていても、つい手を出してしまうのです。
そんな意志薄弱な人間が、投資で勝てるわけがありません。投資においては、常に強い意思(マインド)が求められます。自分で決めたルールを守り続ける強靭な意思。プロスペクト理論に打ち勝つための揺ぎない選択眼。これらが備わっていなければ、あっという間に資金を溶かします。
そもそも、投資とはリスクを取って利益を追求する行為です。つまり、リスクを支配下におけるかどうか?自分でコントロールできているか?ということです。
横領(犯罪)というコントロールできない超ハイリスクを背負って、投資に望んでいる時点で、投資不適格者ですね。