パラボリックSARを過信しすぎるのも危険…
海外FXトレーダーのパラボリックSAR好きについては、前回の記事で解説しました。
なんとなく、パラボリックSARの太鼓持ち記事のようになってしまいまいました。パラボリックSARはたしかに素晴らしいツールの一つですが、決して聖杯などではありません。
今回は、パラボリックSARを過信しすぎるのも危険であるとの警鐘を鳴らす動画を紹介します。パラボリックSARは万能ではなく、トレンド系テクニカル指標特有の弱点もあります。
パラボリックSARに一目均衡表の雲を組み合わせたストラテジー
動画主は、パラボリックSARに一目均衡表の雲を組み合わせたストラテジーの優位性について検証しています。
You Tube動画のタイトルはTRADED ICHIMOKU + PARABOLIC SAR 100 TIMES(Revealing Profits)です。簡単な英語解説での動画なので、ぜひ視聴することをおすすめします。
SARの転換タイミングだけでENTRYすると、トレンドに逆らった仕掛けを行うことになりかねません。できるだけトレンド方向に仕掛けたいですよね。
トレンドを確認する方法は様々です。以前紹介したParabolic SAR & Moving Average Strategyは、複数の移動平均線(13、34、55EMA)のパーフェクトオーダーによってトレンドを確認していました。そしてParabolic SAR – Simple But Effective Trading Strategyでは200EMAをフィルターとして活用していましたね。
今回紹介するTRADED ICHIMOKU + PARABOLIC SAR 100 TIMES(Revealing Profits)では、トレンドフィルターに一目均衡表の雲を活用しようと試みています。
TRADED ICHIMOKU + PARABOLIC SAR 100 TIMES(Revealing Profits)の取引ルール
TRADED ICHIMOKU + PARABOLIC SAR 100 TIMES(Revealing Profits)の取引ルールは極めてシンプル。
-If above the cloud,only take long positions
-If below the cloud,only take short positions
-Dont trade when candles are inside the cloud
つまり…
- ローソク足が雲の上にあるときは、買いのみで仕掛ける(売りはNG)
- ローソク足が雲の下にあるときは、売りのみで仕掛ける(買いはNG)
- ローソク足が雲の中にあるときは取引しない
手仕舞いのタイミングは次の通り。
-When a candle touches the cloud
-When a candle overlaps the PSAR
-When the PSAR reverses
直訳すると…
- ローソク足が一目の雲にタッチしたら手仕舞い
- ローソク足がパラボリックSARと重なったら手仕舞い
- パラボリックSARが反転したら手仕舞い
バックテストを”100回”やってみた結果…
さて、TRADED ICHIMOKU + PARABOLIC SARそのものはとてもシンプルでルールも明快です。
ではこの手法が本当に優位性を持っているのか?動画主は実際にバックテストを行い、その結果も公表しています。手動によるテストですが、ルールに基づいて勝ち負け、TP値とSL値をExcelシートに記録しています。
バックテストは以下の条件で行っています。
- 初期資本:10,000ドル
- レバレッジ:200倍
- Trading budget(リスクテイク):総資本の1%
- 取引通貨ペア:EUR/USD(ユーロ米ドル)
- 取引時間足:15分足
【結果】185ドルも勝った!しかし…
さて、100回のトレードを行った結果はどうなったかというと…
なんと!185ドルのプラスだったというのです。ただし…
結局、1回の大勝ち(TP=163ドル)によってプラスを確保できたということです。この大勝ちがなければ、結果はマイナスだった可能性があります。ラッキーだったと言えますね。
勝率の低さはパラボリックSARによる手仕舞いサインが遅すぎることに起因する
バックテストの勝率が低い原因として、動画主はパラボリックSARによる手仕舞いサインが遅すぎる点を挙げています。
仕掛けのタイミングとしてはSARは有効なのですが、手仕舞いをSARに頼ってしまうと大きく戻されてしまうことが多々あるとのこと。せっかくの含み益を毀損してしまうのですね。特にレンジ状態が続く相場においては、他のトレンド系テクニカル同様、ほとんど役に立ちません。
パラボリックSARはトレンド検出には極めて効果的なインジケーターだが手仕舞いシグナルとしては思ったほど役に立たないと結論づけています。
こうしてバックテスト結果を元に論理を展開されると説得力ありますよね。
パラボリックSARに限らず、各テクニカル指標のウィークポイントを理解した上で活用することが大切であると思わせてくれる動画です。