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両建てについて調べすぎると「沼落ち」します…^^;

FXの両建て戦略は、ほんとうにいろいろな種類がありますよね。

両建て戦略ほどみんなの意見が分かれる手法はありませんよね。両建てを絶賛している意見もあれば、全否定している意見もあります。まさに賛否両論です。

そんなだから、両建てについて調べれば調べるほどズブズブとにハマってしまいます。これこそが恐ろしい「両建て沼」です。

結局、自分でやってみなければ、なにもわかりません。まずはどんな両建て戦略でも、実際にチャレンジしてみることをオススメします。自分の経験に基づいて判断しなければ、結局また両建てに「沼落ち」してしまいます。

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両建ての最強必勝法(?)「両建て同値撤退」について考察しよう

さて、今回はネットでよく見かける『両建て同値撤退FX手法』について、優位性の有無を考えてみたいと思います。

『両建て同値撤退FX手法』こそが最強だ!などと断言するトレーダーも存在しますが、はたしてほんとうに最強なのでしょうか?

まずは『両建て同値撤退FX手法』がどのようなものか、具体的に解説します。

  1. 15時30分に両建てスタート(売り・買い両方のポジションを建てる)
  2. 翌日14時30分、含み益ポジションを利確する/含み損ポジションは同値撤退の指値を入れる
  3. 一定期間(5〜10営業日)毎に各ポジ(Short/Long)の含み損を集計して、現在値から同値撤退値に指値を変更する

基本は上のパターンですが、集計ポジを同値撤退ではなく半値撤退にするなどバリエーションはあります。

STEP1.毎日決まった時間に両建てポジションを建てる

第一ステップは、15時30分(16時でもOK)にその時の値で両建てポジションを持つことから始まります。

15時30分〜16時という時間帯を選択する理由は、ロンドン市場が開く直前だからです。東京市場で少なかったボラティリティが、ロンドン市場によって一気に拡大します。このタイミングで両建てを行うわけです。

ほぼ1日(翌日の14時30分まで)、両建てポジションを放置します。

翌日14時30分になりました。どちらかのポジションが「含み益」を出していて、もう一方のポジションは「含み損」を出していますね。

Aポジションが50pipsの含み益が出ていれば、Bポジションは▲50pipsの含み損です(解説用にスプレッドは省きます)。

STEP2.翌日含み益ポジションを利確し、含み損ポジションは同値撤退に指値を入れる

ここから第二ステップです。

  • 含み益ポジション…利益確定する(50pipsの利益)
  • 含み損ポジション…同値(±0)撤退の指値を入れる(つまり前日の注文値ですね)

これが1セットとなります。

このセットを毎日繰り返します。すると…

1日目…利益50pips、含み損▲50pips
2日目…利益30pips、含み損▲30pips
3日目…利益80pips、含み損▲80pips
4日目…利益40pips,含み損▲40pips
5日目…利益20pips、含み損▲20pips

合計利益は220pipsです(一例)。一方の含み損の合計も220pips…ではありません。

なぜなら、含み損が出ているポジションは、現在値から同値撤退値に指値を変更しているからです。レートが上下動を繰り返しているならば、どこかの含み損が同値撤退値にヒットし、±0になっている可能性がありますね。

両建て同値撤退FX手法のモデルケース

両建て同値撤退FX手法のモデルケース

上の例で考えてみましょう。縦のライン(黒線)が両建てポジションを建てたタイミング(15時30分)です。利確タイミングは翌日の14時30分、つまり翌日のポジションを建てる直前です。

1日目に建てた2つの両建てポジションはレートが大きく上昇したため…

  • 買いポジション…含み益
  • 売りポジション…含み損

ですね。買いポジションは利益確定します。一方の売りポジション(含み損)は同値撤退に指値をいれておきます。さて、その含み損ポジションは、2日目に刺さり±0で決済できました(説明用にスプレッドは考慮していません)。

2日目に建てた両建てポジションはレートが下落したため…

  • 買いポジション…含み損
  • 売りポジション…含み益

こちらも売りポジションを利益確定します。一方の買いポジションは、同値撤退に指値を入れておきます。この含み損ポジションは、なんとか5日目の午後に刺さり±0で撤退成功です。

3日目に建てた両建てポジションも見てみましょう。レートが下落後、再び上昇しましたので…

  • 買いポジション…微益
  • 売りポジション…6日午後に同値撤退成功

4日目に建てた両建てポジションは、レートが大きく上昇したため…

  • 買いポジション…大きな含み益!
  • 売りポジション…大きな含み損!だが5日目にレートが下落したので同値撤退成功

5日目に建てた両建てポジションも同様です。ポジションを建てた直後にレートが下落したため、売りポジションは含み益を抱えていますが、買いポジションは大きな含み損となっていますね。

上の例はあくまでもモデルケースであり、実際にはこんなにきれいな波を描くことはありません。

あくまでも一例として捉えてください。

STEP3.一定期間で損益を集計し、損失を最小限にできる値に撤退値を変更する

ここで第三ステップです。5日とか10日とか一定の期間で区切り、損益を集計します。

先の例では…

1日目…利益50pips、含み損▲50pipsは同値撤退で±0
2日目…利益30pips、含み損▲30pipsは同値撤退で±0
3日目…利益80pips、含み損▲80pipsは同値撤退で±0
4日目…利益40pips,含み損▲40pipsは同値撤退で±0
5日目…利益20pips、含み損▲20pipsはそのまま

利益の合計は220pips、含み損は▲20pipsです。合計で200pipsのプラスとなります。利益が含み損を大きく上回っているので、含み損はそのまま損切りしても良いし、同値撤退が刺さるのを待っても良いでしょう。

一方、レートの動きによっては以下のような例もあります。

1日目…利益50pips、含み損▲50pips→▲70pipsへ拡大
2日目…利益30pips、含み損▲30pips→▲20pipsに縮小
3日目…利益80pips、含み損▲80pips→同値撤退成功
4日目…利益40pips,含み損▲40pips→▲90pipsに拡大
5日目…利益20pips、含み損▲20pipsはそのまま

そうすると…利益の合計は220pipsですが、含み損は▲180pipsです。合計すると40pipsのプラスです。含み損▲180pipsを±0にできるポジション(Short・Long)を算出し、同値撤退値に指値を変更します。うまく行けば含み損を極力小さくして合計損益を拡大できるでしょう。

実際は、含み損を完全にゼロにすることは難しいです。そこで、同値撤退ではなく半値撤退(半値戻しで決済)、3分の1撤退(1/3戻しで決済)とすれば、合計利益は減少しますが、より早くポジションを回収できます。

これをずっと(毎日)繰り返します。

以上が『両建て同値撤退FX手法』の全容です。

相場がランダムウォークであることを前提とした両建て手法ですね。レートの動き(方向)を予測するのではなく、相場がつねに大きな波を描いていることに着目し、その動きの中らから利益を出すという考え方です。

実際のチャートで『両建て同値撤退FX手法』を確認してみる

実際のチャートで確認してみましょう。以下のチャートはGBP/USD(ポンドドル)の1時間足です。

GBP/USD1時間足

GBP/USD1時間足

全部で6回トレードをおこなっています。

  • 1回目の両建ては下落を捉え、売りポジを利確、買いポジは54時間後に同値撤退成功
  • 2回目の両建てはレンジで、売りポジが微益、買いポジは24時間後に同値撤退成功
  • 3回目の両建ては上昇を捉え、買いポジを利確、売りポジは同値撤退に刺さらず含み損抱え中
  • 4回目の両建ては上昇後に下落し、売りポジを利確、買いポジは29時間後に同値撤退成功
  • 5回目の両建ては上昇を捉え、買いポジを利確、売りポジは同値撤退に刺さらず含み損抱え中
  • 6回目の両建ても上昇を捉え、買いポジを利確、売りポジは28時間後に同値撤退成功

計6回のトレードで、含み損ポジションが2つ残っていますね。この2つのポジションの含み損を平均して新たな同値撤退値を算出し、指値を置き換えます。

今後レートが大きく下落すれば、含み損を抱えたポジションの指値(同値撤退)が刺さり、含み損はゼロとなって大きな利益を手にすることができます。

万が一、レートが大きく戻さなくても、半値撤退で妥協すれば、指値に刺さる可能性はより高まりますね。上の図(相場)ならば、半値撤退でも収益はプラスになります。

「なにこの手法!凄すぎる!」と思った人に残念なお知らせです

思い込みの激しい人だったら、「えっ!この両建て手法だったら、余裕で勝てるのでは?」と早とちりしてしまうかもしれませんね。

「なにこの手法!凄すぎる!」と思った方は、是非チャレンジしてみてください。想像していたほど容易に利益を出せません。『両建て同値撤退FX手法』が機能するためには、それなりの条件が必要だからです。

大前提として、レンジ相場であることが絶対的に必要です。ある程度のレンジ幅でレートが上下動を繰り返す相場においては威力を発揮する手法です。

一方、レートが一方向にグングン伸びる相場(暴騰・暴落)で『両建て同値撤退FX手法』を実践すると大変なことになります。含み損が凄まじい勢いで拡大し、回収不能に陥り、ロスカットされる可能性が一気に高まります。

両建て同値撤退FX手法が破綻するとき

両建て同値撤退FX手法が破綻するとき

上の図では、上昇トレンドが継続していますね。すると、連日建てた両建ポジションの「売りポジション」が同値撤退値に刺さらず、含み損が回収できません。

時間の経過とともに含み損が増大し、徐々に証拠金を圧迫し始めます。資金を追加できなければ、口座破綻(ロスカット)です。そもそも両建てをしている時点で証拠金が2倍必要です。資金効率も決して良くはありません。

もちろん、その後レート下落によって含み損が回収できる(同値撤退値に刺さる)可能性もゼロではありません。しかしその一方で、レートが全く戻らない可能性もゼロではないのです。

両建ては「聖杯」ではない…

一時期最強とまで騒がれた『両建て同値撤退FX手法』ですが、レンジ相場でなければその優位性はほとんど発揮できないのです。

相場はレンジが8割などと言われていますが、残りの2割はトレンド(もしくは急騰・急落)相場です。そしてトレンドがいつ発生するかは、誰にも予測できません。

『両建て同値撤退FX手法』が長期に渡って機能しないことは、EA(自動売買)を作ってバックテストをしてみればわかります。右肩上がりではなく右肩下がりですぐに破綻します。

かといって、『両建て同値撤退FX手法』が全然使えない…ということでもありません。『両建て同値撤退FX手法』を活用するには、それなりの裁量判断を加える必要があるということ。含み損を外すタイミング(半値撤退〜1/3撤退etc.)や、含み益を伸ばす工夫(トレール、ピラミッディング)などがあってはじめて、『両建て同値撤退FX手法』の優位性が発揮できるわけです。

『両建て同値撤退FX手法』が気になる人は、ぜひチャレンジしてみてください。そしてあなたなりの裁量を加えることで優位性を高めてみてはいかがでしょうか。

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