グルグルトレインをやってみたい?…やめておけ
FX業界を騒がせている『グルグルトレイン』。まだまだ盛り上がりそうですね。
『グルグルトレイン』がどのような手法なのかについては、以下の記事にまとめましたので、よく知らない人は是非読んでみてください。
ところで、『グルトレ』ってほんとうに稼げるのでしょうか?
片手間でお金を増やせる夢のような手法なのでしょうか?
今回は、そのあたりを詳しく説明します。先に結論から述べると『グルグルトレイン』FX手法はオススメしません。理由は5つあります。
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理由1.初期設定が非常に面倒だ(21個〜410個の注文を設定する)
『グルグルトレイン』の初期設定は、想像以上に面倒です。
第1段階として、『グルグルトレイン』の最小単位である「1円グルグルトレイン」と呼ばれるセットを作ります。公式サイトから画像をお借りします。
「1円グルグルトレイン」は、1円幅の中に20個のIFD注文(買い10個、売り10個=子本体)を10pips(10銭)刻みで設置し、さらにサポートと呼ばれる指値注文を1つ加えます。
- 買いのIFD注文 ✕ 10個
- 売りのIFD注文 ✕ 10個
- 指値注文(売りor買いどちらか) ✕ 1個
注文の合計は21個です。この21個の注文が「1円グルグルトレイン」の中身であり、『グルトレ』の最小単位です。
これだけでは終わりません。
次に、「1円グルグルトレイン」を想定レンジ幅にぎっしりと敷き詰める作業をおこないます。
たとえば10円のレンジ幅を想定した場合、「1円グルグルトレイン」を1円刻みで10個敷き詰めます。
104円〜105円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
103円〜104円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
102円〜103円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
101円〜102円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
100円〜101円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
99円〜100円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
98円〜99円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
97円〜98円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
96円〜97円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
95円〜96円…1円グルグルトレイン(=21個の注文を設置)をセットする
合計で210個の注文を手作業にて設置していくことになります。
これが10円幅(レンジ幅)での『グルトレ』設置作業になります。もしも20円幅でレンジを想定するならば、この倍の作業が必要になります。合計420個の注文を手作業にて設定しなければなりません。
なかなかの作業量だと思いませんか?実際にやってみると骨の折れる作業です。
理由2.放置ではない(毎日チェックし必要に応じて注文設定する)
オススメしない理由その2は、グルグルトレインが放置ではないということ。
先ほどの設置作業を済ませてしまえばあとは放置…ということではありません。
『グルトレ』が稼動を始めると、レートの動きに合わせて次々と注文が刺さり決済してポジションが消えます。決済して消えたポジションはそのままにしておくのではなく、新規ポジションを手作業にて建て直します(再設定作業)。
毎日『グルトレ』の稼働状況を見てポジションをチェックし、消えたポジションを確認して新たなポジションを建てる…この作業をずっと継続する必要があります。
もしもこの作業を怠ると、売りと買いのポジションバランスが崩れ、『グルトレ』の優位性が発揮できなくなります。
ポジションチェックと新規ポジションの再設定作業は、必須だと考えておく必要があります。
※グルトレEA(有料:17,800円)を使うことで自動化は可能です。
理由3.正しい相場観に基づく「裁量判断」が絶対的に求められる(再現性は50%)
『グルトレ』の本質は順張りであり、多段階ナンピンによってレンジ相場でも利益を狙う戦略です。順張りであるということは、相場の方向を正しく見極めるための相場観(大局観)が絶対的に必要です。
この先、為替相場は上昇するのか?それとも下降するのか?まずは、上昇相場であるのか下降相場であるのかを予測して、どちらかを選択する必要があります。上昇相場であると予測すれば、グルトレロングを設置します。一方、下降相場であると予測したならば、グルトレショートを設置します。
- 上昇を予測(買い目線)…グルトレロング
- 下落を予測(売り目線)…グルトレショート
どちらを選択するのかについては各トレーダーによって異なり、トレード経験に基づく裁量判断が大いに求められます。
つまり、『グルトレ』の再現性は、100%ではなく50%なのです。
あるトレーダーは「買い目線」でサポートポジションを「買い」で入れる、別のトレーダーは「売り目線」でサポートポジションを「売り」で入れる…そうすると結果は全く変わってしまいます。
もしもあなたがUSD/JPY(ドル円)の上昇を予測して「グルトレロング」を設定したとします。ところがあなたの予想に反して下落してしまったら?非常に厳しい戦いがあなたを待っています。含み損が急速に拡大し、あなたの証拠金を圧迫します。場合によっては莫大な損切りが発生して『グルトレ』運用停止、撤退せざるを得ないことも十分にありえます。
結局、順張りトレードが『グルトレ』の本質である以上、相場の方向性を読むためのスキルがトレードの成否を大きく分けることを知っておくべき。
ほったらかしで稼げるほど相場は甘くないということです。
各人の相場観によって利益を伸ばせたり、莫大な損切りで終わったりするのが『グルグルトレイン』です。
初心者がいきなり『グルグルトレイン』で利益を出せるかといえば「ノー」です。また中級者以上でも相場を読み間違えば、(労が多いわりには)ほとんど利益が出せません。
理由4.”両建てナンピン”をするため必ず「含み損」が発生する(しかも巨額の含み損)
『グルトレ』は多段階両建てナンピンをおこなう特殊な手法です。レートがどちらに進もうが「含み損」は必ず発生します。
最初に予測した方向にレートが進めば、「含み損」は発生しますがそれを打ち消すためのサポートポジションが相殺してくれるためストレスはありません。
一方、予測と逆方向にレートが進めば、「含み損」が一気に膨れ上がります。なぜなら、子本体の含み損に加え、サポートポジションも含み損を抱えるからです。つまり2倍の勢いで含み損が増大するわけです。これはなかなかのストレスです。
レートは上下動を繰り返しながら相場を形成するため、常に含み損が増減するわけです。レートが逆方向から戻れば当然含み損は軽減されますが、戻らずにどんどん逆行すれば証拠金が圧迫され、破綻リスクが高まります。『グルグルトレイン』は、常にこうしたストレスと隣合わせです。
ストレスを軽減して安全な運用をするためには、含み損が増えても問題ないくらいに莫大な証拠金を用意するか、建てるポジションを極限まで小さくする(=得られる利益もわずか)か、この2つしか道はありません。
理由その5.資金効率が極めて悪い(多額の運用資金が必要な割に得られる利益はわずか)
『グルグルトレイン』はナンピン手法ですので、含み損リスクを計算して資金運用することが求められます。
通常のナンピン手法に比べ、サポートポジションもナンピンするため、レートが逆行した場合の含み損(マイナス)は2倍です。含み損が2倍の勢いで増加するため、必要とされる証拠金の額も莫大になります。
最初に、現在レートがどこまで逆行するかを予測して、その逆行幅に耐えられるだけの必要証拠金を用意しなければなりません。一例として…
- 5円の逆行に耐えるには、254,500円以上の証拠金が必要
- 10円の逆行に耐えるには、1,007,000円以上の証拠金が必要
- 15円の逆行に耐えるには、2,259,500円以上の証拠金が必要
- 20円の逆行に耐えるには、5,620,000円以上の証拠金が必要
もしも10円の逆行を予測し、それに耐えるだけの証拠金を110万円用意していたとします。そして11円の逆行が発生したら…あなたの口座は破綻します(ロスカット)。その際にあなたが失うお金は110万円です。
20円の逆行に耐えるには、560万円以上の資金が必要なのです。安全に運用したいならば最低でも500万円は用意するべきでしょうね。それでも20円逆行すれば500万円を失うのです。
『グルトレ』は莫大な資金力のあるトレーダー向きのFX手法といえます。
もちろん、ロット数を10分の1に設定すれば必要とされる資金量も10分の1になります。そのかわり得られる収益も10分の1です。
グルグルトレインの必要資金は
子本体10枚、サポート100枚で資金5万円で月益500円
子本体100枚、サポート1000枚で資金50万円で月益5000円
子本体1000枚、サポート10000枚で資金500万円で月益5万円
です∩(´∀`∩)
ただし多少リスク負うなら各資金は2万円、20万円、200万円でもいいと思います。— 川崎ドルえもん (@kawasakidoruemo) 2017年11月14日
川崎ドルえもんのTweetにあるように、資金500万円で得られる利益は、月5万円程度です。
10分の1の50万円の資金ならば、手にする利益は5000円です。
- 資金500万円…月の利益は5万円
- 資金50万円…月の利益は5000円
- 資金5万円…月の利益は500円
しかも、上に挙げた利益は絶対に手にできる利益ではありません。『グルトレ』が上手くいった場合の利益であり、保証されているわけではないのです。
10万円程度の資金では、月に1000円稼げるかどうか?というレベルです。
しかも最終的に利益確定するまで相応の期間が必要です(例:逆行した相場が戻るまでetc.)。つまり長期間、資金(大金)が拘束される手法なのです。
それでもあなたは『グルグルトレイン』をやってみたいですか?
結論:グルグルトレイン手法は「割に合わない」
『グルグルトレイン』をおすすめしない理由は全部で5つです。
- 初期設定が非常に面倒だ(21個〜410個の注文を設定する)
- 放置ではない(毎日チェックし必要に応じて注文設定する)
- 正しい相場観に基づく「裁量判断」が絶対的に求められる(再現性は50%)
- ”両建てナンピン”をするため必ず「含み損」が発生する(しかも巨額の含み損)
- 資金効率が極めて悪い(多額の運用資金が必要な割に得られる利益はわずか)
手に入れる(かもしれない)利益に比べて、必要とされる資金や手間(設定作業)が割に合わないと思うのは私だけではないはず。
もちろん、それでも『グルトレ』やってみたい!と思うのでしたら、それは自由ですので止めません。なにごともやってみなければわからないこともあります。月利1%、年利でいえば12%です(ただしうまくいった場合)。
数百万円レベルの余裕資金があり、逆行時の含み損ストレスに耐えられるならば、『グルグルトレイン』にチャレンジしてみても良いでしょうね。
『グルグルトレイン』を絶賛する記事が溢れていて気持ち悪いので、今回はちょっと別の視点から『グルトレ』を考察してみたお話でした。