『ダブルブレイクマネージャー』検証とレビュー
熊本地震(死者247人)に便乗した商法とも取られかねないマーケティング手法は賛否両論…
震災により甚大な被害にあった熊本の農村部に莫大な富を与えた伝説のFXノウハウがついに全国公開!
2016年4月に発生した熊本地震(死者247人)に便乗(利用)したとも取られかねないマーケティング手法には、嫌悪感を覚える人もいるかもしれません。私の近い親戚も熊本地震の被害者の1人です。正直に言うと、決して良い気分はしません。
「震災により甚大な被害にあった熊本の農村部に莫大な富を与えた伝説のFXノウハウ」というふれこみで販売されている商材、それが『ダブルブレイクマネージャー』です。
販売元:株式会社Vest Ship Partners
発売日:2017/10/28
メディア:インディケーター
公式サイト:https://doublebreakmanager.com/
『ダブルブレイクマネージャー』誕生秘話?
熊本の”片田舎”でおじいちゃん、おばあちゃんがFXで優雅な生活をしている…?
『ダブルブレイクマネージャー』は開発者である那住善(なずよし)氏が、熊本地震に被災した老人達の生活を裕福にするために作ったFXインジケーターとのこと。
「目の前で困っている地域の人たちを救いたい」
熊本のおじいちゃん、おばあちゃんでも、わずか30秒のトレードで利益を積み上げていくことができる手法らしいです。
年利1万%…もう笑うしかない
開発者である那住善(なずよし)氏は、100万円を元手に1年足らずで1億円まで膨らませることに成功し、現在はセミリタイアの日々を送っているとのこと。
このロジックにより、わずか100万円で始めた元手を1年足らずで1億まで膨らますことに成功し、若くしてセミリタイアの日々を送っている。
1年で100万円を1億にした…なかなかツッコミどころ満載です。1年で100倍です。
えーと…整理します。
100万円を年利10%で「複利」運用しても、1億円にするには49年かかります。(※1億671万円)
100万円を年利20%で「複利」運用しても、1億円にするには26年かかります。(※1億1447万円)
100万円を年利100%で「複利」運用しても、1億円にするには7年かかります。(※1億2800万円)
では、問題です。
100万円を1年で1億円にするには、年利「何%」が必要でしょうか?
1年という条件なので「複利」もなにもあったものではありません。単純に100倍です。100倍ということは、つまり年利10000%ということ(※年利10000%の場合、正確には1億100万円)。
『ダブルブレイクマネージャー』開発者である那住善(なずよし)氏は、100万円を1年で1億円にしたわけですから、年利10000%(1万パーセント)で運用したということになります。
12ヶ月で100倍(年利1万%)にすることがどれほど非現実的か?あなたには理解できていますか?
同じペースで2年後、3年後を見てみると…
- 2年後…102億100万円
- 3年後…1兆303億100万円
- 4年後…104兆604億100万円
実に馬鹿馬鹿しい数字です。
プロのディーラーですら年20%の利益を出すことができれば合格とされている投資の世界で、年1万%、つまりプロの500倍という恐ろしい運用成績を出したということになります。
そんな天才的(?)トレーダー那住善(なずよし)氏が開発したインジケーターが『ダブルブレイクマネージャー』。もう、笑うしかありません。
GFF氏のような例外もあるが…
とはいえ、10万円を3ヶ月で6億にしたGFF氏の例もあります。
彼の場合はもっと驚異的です。
最初の10万円を2億4000万円にするまで、わずか5週間しかかかっていません。さらに、そこから38営業日で4億3500万円まで増やしています。彼の頂点はその数日後。遂に6億円を達成しました。
GFF氏の神がかり的なトレードによって、信じられないペースで資金を増やしていくさまは、当時「ニコニコ生放送(ニコ生)」で生配信(リアルタイム配信)されていて、多くのユーザーがその光景(奇跡)を目撃をしたのです。
当時はレバレッジ規制(マックス25倍)がなく、いくらでも突っ込めた時代です。それでも凄まじさを感じさせるトレードです。
6億円を達成したその数日後(2010年7月14日)に、あの有名な”3億円ロスカット事件”が起こります。その後、GFF氏の超人的なトレードは失われ、あっという間に30万円にまでお金を減らしてしまったのです。
熊本震災直後にボランティアでFX教室を開く
話をもとに戻します。
年1万%で100万円の元手を1年で1億円にした(自称)とする那住善(なずよし)氏のオリジナルインジケーターが『ダブルブレイクマネージャー』です。
熊本震災直後に、彼がボランディアで近所の老人を集めてFX教室を始めたことが、ツール開発のきっかけです。
ツール(オリジナルインジケーター)によって勝てるようになった人が増えたことから、「震災で荒れ果てた農村部に莫大な利益をもたらした伝説的な講師(自称)」として有名になったとのこと。
私の近い親戚が、熊本地震で被害の大きかった「宇城市」に住んでいます。家屋に被害が出て一時的に避難生活を余儀なくされました。その人に聞いてみたいです、「伝説的なFX講師」の存在について。
『ダブルブレイクマネージャー』の特徴
初動を捉えるレンジブレイクアウトがベース
『ダブルブレイクマネージャー』のロジックは、レンジブレイクアウトです。
レンジゾーンは、チャート上にブルーのボックスで示されます。そのボックス圏の上抜け・下抜けをブレイクの初動として捉え、矢印マーク(シグナル)を点灯させるというストラテジーですね。
ボックス抜けの終値でシグナルが点灯(確定)なので、上のチャートの斜めの黄色矢印はちょっと恣意的に感じますね。
常にボックス抜けでシグナルを点灯させるわけではなく、いくつかのフィルターによってシグナル点灯の可否を判定していると思われます。
損切りポイントもチャートに明示する
レンジブレイクですので、損切りポイントはレンジ下限もしくは直近の安値あたりでしょう。結果的に損切り幅は比較的小さめとなり、ブレイク後のトレンドが伸びれば、損小利大を実現することが可能となります。
ENTRY後に、指値・逆指値を設定する
シグナルに従ってENTRY後は、利確ポイントと損切りポイントを指値・逆指値によって設定します。その後は、指値もしくは逆指値にヒットするまで放置です。
だから「1回30秒」でENTRYできるとしているわけですね。
『ダブルブレイクマネージャー』の欠点
まず『ダブルブレイクマネージャー』のデメリットについて解説します。以下の欠点が許容できない人は買うべきではないでしょう。
1.レンジブレイクの最大のリスクである「ダマシ」をいかに回避するか?
レンジブレイクにつきものの「ダマシ」。これをいかに回避するかが、最大のポイントです。残念ながら販売ページには「ダマシ」を最小限に抑えるためのノウハウについて一切触れていません。
購入後のマニュアル内で詳しく解説されているのかどうか?若干不安を感じます。
当たり前すぎる話ですが、ブレイクアウトは、キレイに抜けてトレンドが発生すれば誰でも勝てます。販売ページ内で解説に使われているチャートは全て、きれいなトレンド相場ばかりです。レンジ抜けで仕掛ければ、初心者であってもブレイク初動を捉えることができ、トレンドが終焉するまでの間に大きな利益をとることが可能です。
問題は、そんなきれいなトレンドがそうそう発生しないということです。方向性が定まらない相場でダマシを連発し、何度も損切りを余儀なくされる…そうしたリスクを回避する術があるのかどうか?その点を購入前に販売者に確認したほうが良さそうです。
2.開発者の実績(1年で100万円を1億に…)が眉唾すぎる
『ダブルブレイクマネージャー』の開発者である那住善(なずよし)氏が自称する実績「わずか100万円で始めた元手を1年足らずで1億まで膨らますことに成功」が非現実的すぎて、せっかくのストラテジーの信頼性を損なっているように感じます。もったいないですね。
彼の実績を裏付けるデータ(取引残高報告書や証券会社の口座残高キャプチャなど)はどこにもありません。
3.死者240名超の熊本地震に便乗したマーケティングに嫌悪感を感じる
熊本地震に便乗した販売手法に、個人的に嫌悪感を感じてしまいます。熊本地震後の被災地でFX教室を開催したことが本当だとしても、それを販売ページに大々的に掲載するのはいかがなものかと思います。
被災地の人々がこの販売ページを見て、どう感じるのか?販売者に考えて欲しいと願います。
- レンジブレイクの最大のリスクである「ダマシ」をいかに回避するか?
- 開発者の実績(1年で100万円を1億に…)が眉唾すぎる
- 死者240名超の熊本地震に便乗したマーケティングに嫌悪感を感じる
『ダブルブレイクマネージャー』総合評価
【結論】熊本地震の被災地の人々に莫大な利益をもたらした伝説的なFX講師(?)が開発した「レンジブレイクアウト」インジケーター
斬新性はなく、ダマシ回避に関するアイデアも未知数
にわかには信じがたい実績を持つ販売者が開発した『ダブルブレイクマネージャー』ですが、多数の死者を出した熊本地震に便乗したかのようなマーケティングは賛否両論でしょう。
ロジックは王道的なレンジブレイクアウトですが、ダマシを回避するためのアイデアについて、ヒントすら語られていません。マニュアル内で語られているのか不安です。
レンジブレイクアウトは、勝つときは誰でも(小学生ですら)容易に勝てます。最大の課題は、「ダマシ」をいかに最小限におさえ、いつ発生するかわからない「ブレイクアウト」を気長に待ち続けることができるかどうか?この2点にあります。
本物のブレイクアウトがいつ発生するか、だれにも予測できません。それまでは気長に待つしかありません。ブレイクアウトで利益を出すには、とにかく「待ち続けること」、そして「チャンスに仕掛け続けること」の2つが求められます。そうして初めて「損小利大」のトレードが可能になるのです。
1日に数回程度のトレードでは、全くトレンドを捉えられずに終わってしまうことも頻繁に起こります。「30秒でトレード」がウリの『ダブルブレイクマネージャー』ですが、トレンドを待つことの重要性については一切言及されていません。
4万円近いFX商材なので、凡庸なブレイクアウト手法でないことを願うばかりです。
- レンジブレイクの最大のリスクである「ダマシ」をいかに回避するか?
- 開発者の実績(1年で100万円を1億に…)が眉唾すぎる
- 死者240名超の熊本地震に便乗したマーケティングに嫌悪感を感じる
『ダブルブレイクマネージャー』を購入検討しても良い人
- レンジブレイクアウトに興味のある人
- 熊本地震で荒れ果てた農村部に莫大な利益をもたらした伝説的なFX講師に興味がある人
- 100万円を1年で1億円にしたとする開発者の言葉を信じる人
『ダブルブレイクマネージャー』を購入してはいけない人
- レンジブレイクアウトに興味がない人
- 熊本地震で荒れ果てた農村部に莫大な利益をもたらした伝説的なFX講師という宣伝が眉唾な人
- 100万円を1年で1億円にしたとする開発者の言葉が眉唾な人
販売元:株式会社Vest Ship Partners
発売日:2017/10/28
メディア:インディケーター
公式サイト:https://doublebreakmanager.com/