ワンミニFXは ”乖離トレード”か?
先日ご紹介した乖離トレードに対する問い合わせを多数いただいています。
ワンミニFXは、いわゆる乖離トレードの一種と思われますが、お問い合わせは、一般的な乖離トレードのエッジ(優位性)についてが多いですね。乖離トレードの代表として、春香さんの手法をご紹介しましたが、今回は、その乖離トレードについて別角度から検証してみたいと思います。
乖離トレードとは、つまるところ、レンジ相場でのレートの行き過ぎを狙い撃ちする逆張りトレードのことです。売られすぎ、買われすぎをトレードするわけですから、基本的にはオシレーター系のテクニカル指標を使うことが多いです。
移動平均乖離率を使った逆張りトレードの例
前回ご紹介した春香さんの逆張りトレードや、TAMURA式ワンミニFXは、上下のライン(移動平均線を中心に等間隔に描写した2本のライン)へのヒットで、タイミングを取ることが特徴でしたね。
つまり、レートと移動平均線の距離を、一つの目安にするわけです。
これは、移動平均乖離率というオシレーター系のテクニカル指標を活用した手法と基本的には同じです。移動平均乖離率とは、移動平均線からレートがどれくらい離れているかを、数値化したテクニカル指標です。
MetaTrader4のインディケーターでは、kairi.mq4で表示させることが可能です。kairi.mq4をチャートに表示させるとこんな感じになります。(サブウィンドウに表示)
上のチャート図では、EMA(200)の乖離率を表示させています。メインチャートには、EMA(200)を中心に、上下10pipsの幅でラインを表示させています。
ゼロレベルで、移動平均線(EMA200)からの乖離率がゼロということになります。この移動平均乖離率を使うことで、売られすぎ、買われすぎを狙い撃ちするトレードが可能になります。
kairi.mq4が一定レベルに達したら逆張り
具体的なトレード方法ですが、kairi.mq4に上下のラインを引き、そのラインにヒットしたら逆張りエントリーするというのが一般的です。こんな感じですね。
上のチャート図では、EMA(21)のkair.mq4に、±0.15の箇所にライン(赤ドットライン)を引いています。そのラインにKairi.mq4がヒット(サブウィンドウの白丸箇所)したら、逆張りでエントリーをします。
利食いは、Kairi.mq4ラインがゼロレベルに達したポイント辺り。損切りは一定値(10〜15pips)、もしくは戦略的ナンピン&マーチン.etc
乖離率を順張りに応用する
いかがですか?なんだか、すごく優位性がありそうな気がしますね。
でも、シンプルなEA(自動売買ツール)を作れば簡単に判明しますが、資産推移は右肩下がり(マイナス)となります。もちろん、TPとSLのバランスやナンピン&マーチンを組み込むことで、右肩上がりにすることも可能です。(=カーブフィッティング)
単純な移動平均乖離を使ったトレードに優位性はない、ということです。やはり、長期の時間足と同調する方向へのトレードを厳選するなど、裁量的な戦略が必要とされます。
私は、順張りトレーダーですので、むしろ移動平均乖離率を順張りの手仕舞いに応用します。つまり、乖離率が一定レベルを超えたポイントを、手仕舞いのシグナルとするということです。
上記チャート図では、アップトレンドであると考え(当然大きな時間足でのトレンドと同調しているという前提です)、買いエントリーを仕掛けたとします。その上で、乖離率が上に振れ過ぎたポイント(白丸部分)で、段階的に手仕舞いを行うわけです。
トレンドを形成しやすいFXでは、難しいか?
乖離率を使ったトレードは、株式相場などで良く使われます。株価は、比較的平均値に収束しやすいからでしょう。
ジェイコム男ことBNF氏は、乖離トレードを得意手法の1つとしていたことで有名ですね。25日移動平均からマイナスに乖離(10〜15%)している銘柄を買い、乖離率が0%に戻る過程で売るという手法です。いわゆる”株価のリバインド”です。
FXなどは、比較的一方向にトレンドが出やすいため、乖離トレードが難しいように私は感じています。むしろ、トレンドをそのまま狙ったほうが、簡単に勝てるという印象です。
しかし、難しいからこそ、研究に値する面白い手法だと思います。通貨ペアの特性を研究し、時間帯毎の乖離幅の推移などを検証して、自分だけの強力な武器とすることも不可能ではないと思います。
なかなか奥が深いですね。