FXにおける”時間決済”の優位性について考察してみる
前回、時間決済(3分後決済)という特殊なFX商材『Go!Go!!スキャルFX』をレビューしました。
販売元:クロスリテイリング株式会社
発売日:2018/09/19
メディア:インジケーター・動画・PDF
公式サイト:https://new-scal.s3.amazonaws.com/goscal/top/it.html
ローソク足3本後(3分後)に決済をすることが、『Go!Go!!スキャルFX』ロジックの根幹として位置づけられています。
『Go!Go!!スキャルFX』に代表される”時間決済”という概念は、時折目にします。今回は、FXトレードにおける”時間決済”という概念に焦点を当てて、その優位性について考察してみます。
時間決済ロジックにはどのような種類があるか?
一定時間が訪れたら強制的に(ルールとして)決済するという”時間決済”には、いくつかの種類があります。
週末決済
最も一般的なものは「週末決済」ですね。
週末にポジションを保有したまま翌週へ持ち越すことには一定のリスクが存在します。ご存知のようにFXでは、土曜日の早朝から月曜日の早朝まではトレードすることができません。ところが世界情勢は週末もお構いなく刻々と変化しています。週末に世界のどこかで為替レートにインパクトを与えるほどのネガティブなニュースが発生すれば、月曜日の朝に「窓開け」などのイレギュラーな値動きを引き起こす可能性が急速に高まります。
持ち越しポジションがイレギュラーな値動き(暴騰・暴落)に巻き込まれた場合に、オープンと同時に瞬時に強制決済(ロスカット)される場合もあります。これが俗に言う「週末持ち越しリスク」です。
週末持ち越しリスクを避けるために、必ず金曜日中(土曜日早朝…NYクローズまで)にポジションを決済するというルールを用意しているトレーダーも多いはず。
市場終了にあわせて決済
東京市場、ロンドン市場、NY市場、それぞれの市場には特性があります。その特性にあわせてトレードすることはもはや常識です。特性とは、いわば機関投資家(大口投資家)の動きのことです。つまり”機関投資家に順張りする”という投資スタイルです。
東京市場を主戦場としてトレードするならば、株式市場の寄り付きから引けまで(つまり9時前から15時まで)が機関投資家にとっての一区切りとなります。この中で一定の流れ(トレンド)が作り出されます。
大きな流れに乗ってトレードを行ったならば、15時前(厳密に言えば14時ごろ〜)には作り出されたトレンドが終焉することが考えられます。さらにいえば、市場の切り替わりではトレンドが大きく変化する(新たな潮流が発生する)可能性も高まります。
ロンドン市場やNY市場も同様です。直近の市場とはまったく逆のトレンドを生じさせることが多々あります。
ここでひとまずポジションをクローズするのは賢い戦略です。
指標発表前に決済
経済指標が発表される時間帯は概ね決まっています。15時〜16時、そして21時半〜22時半(夏時間・冬時間)です。
指標発表(の結果)によってこれまでのトレンドが大きく影響を受けます。もちろん経済指標を狙ってトレードするツワモノもいますが、大した戦略を持ち合わせていないならば、指標発表トレードはリスクしかありません。
指標発表の時間前に、全ての保有ポジションをクローズし、発表後に荒れたマーケットが落ち着くまで静観することが賢明です。
五十日(ごとおび)売買(=仲値トレード)
五十日(ごとおび)とは各月の5日、10日、15日、20日、25日、30日のことです。この五十日の仲値確定時間を狙ったトレード手法があります。
一般的に、五十日の仲値(取引レート)確定時間、つまり午前9時55分に企業のドル買い需要が高まります。この仲値を狙ったトレードも比較的メジャーですね。五十日(5日・10日)の9時55分前に米ドルをロングし、仲値確定付近で手仕舞いする手法です。瞬間的なドル円上昇を狙った超短期売買です。
これも時間決済に含まれるかもしれませんね。
ブレイクアウトにおける時間決済
ブレイクアウトでも時間決済が用いられるケースがあります。ラインブレイク・レンジブレイクなどでブレイク後、一般的にはOCO注文等で指値・逆指値を入れておきます。利確・損切りどちらかがヒットすれば手仕舞いです。
ところが、一定時間経過後も指値・逆指値どちらもヒットしない場合があります。その場合に事前にルールとして3時間後・6時間後にポジションをクローズするなどと決めておくケースがあります。
○分後決済
一定時間後に必ず決済する手法です。3分後に決済する『Go!Go!!スキャルFX』もここに含まれます。
5分後であったり、15分後であったり、30分後だったりと、ロジックによって様々ですが、一定時間後には利益が出ていようと含み損があろうと、必ず決済するというルールが特徴です。
このルールを裁量で取り組むことははかなり難しいです。実際にやってみるとわかります。
含み損が発生している場合は、それほど問題はありません。確定時間までにレートが戻すのでは?と都合の良い期待をしてしまうからです。そうならないケースも多々あります。
一方、含み益が発生しているケースでは、確定時間で決済することが耐え難くなります。せっかく含み益があるのに、自分で決めた時間(例えば15分)で利確するのがもったいなくなるのです。(もうすこし保有していればもっと利益が出るのでは?)と都合の良い期待がむくむくと膨らみます。含み益がある状態で時間決済した後にさらにレートが伸びたら(あーぁ、もったいないことしたなー)と大きな後悔が残ります。
ですので、「○分後決済」というルールを取り入れるならば、裁量ではなくツール(EAなど)で運用するべきです。そうしないとルールを守ることが困難になります。それほど人間の意志は弱いのです。
『Go!Go!!スキャルFX』には、幸いにも専用自動決済ツールが付属しています。この自動決済ツールを使わなければ3分後決済など絶対に実践できません。裁量で時間決済を行おうとすれば、必ずやルールなどあってないようなものになってしまうでしょう。
販売元:クロスリテイリング株式会社
発売日:2018/09/19
メディア:インジケーター・動画・PDF
公式サイト:https://new-scal.s3.amazonaws.com/goscal/top/it.html
”時間決済”の優位性について
ロジカルさを見出しにくい「○分後決済」
様々なロジックにおける時間決済を取り上げました。
時間決済の優位性については、時間を決めて手仕舞うことが理にかなっているかどうか?にかかってきます。週末決済や、市場終了決済、指標発表前決済、仲値トレードなどには、時間決済を取り入れるロジカルな理由が存在します。むしろ時間決済を行うことで各手法の優位性を高めることになっています。
ところが、『Go!Go!!スキャルFX』などに代表される裁量手法「○分後決済」には、ロジカルな理由を見出しづらく感じます。
スキャルEAで膨大なバックテストを行なった結果、「○分後決済」ロジックが長期的な優位性を確保できているなら、まだ理解はできます。とはいえ、EAですら「○分後決済」ロジックを取り入れることはカーブフィッティングに陥りやすくなる原因の一つです。
つまり、FXトレードにおける「○分後決済」は、優位性を確保しづらいロジックであるということです。
「3分後決済」は”アノマリー”的要素を感じさせる
『Go!Go!!スキャルFX』の3分後決済は、「3分利益の新法則」と呼ばれています。この「3分利益の新法則」を導き出した経緯は、販売ページ内で以下の通り解説されています。
人間の集中力が続く時間の長さや、精神的なストレスのメカニズムについて、書籍やネットなど、とにかくありとあらゆる情報を調べ尽くしたんです。
そうして、詳しく調べていくうちに、“ある数字”がたくさん目に入ることに僕は気がついてしまったんですね…。
そう、それが今回お伝えしている新法則の重要なテーマの「3」という数字だったんです!
意識していないとなかなか気づきにくい部分ですが、僕たちの周りには「3」という数字が、ものすごくたくさん溢れています。
例えば、信号機の数も3つですし、ウルトラマンの制限時間も3分。
ボクシングの1ラウンドの試合時間も3分、料理番組の3分クッキングだったり、童話だったら3匹の子豚なんかもあります。
他にもことわざに「3」がつくものは他の数字に比べて数多くありますし、さらには世界にアップルの名を轟かせたスティーブ・ジョブズのスピーチ内容にも「3」という数字が何度も使われていたり。
実は僕たちの生活の中で知らないうちに多く溶け込んでいる「3」という数字。
明らかに、他の数字と比べても特別視されていることは一目でわかりますし、物事の区切りとしても、意識されているとしか考えられません。
いったいこの「3」という数字には、どんな秘密が隠されているのでしょうか…?
この謎を解き明かすため、「3」という数字をもっと詳しく調べてみると、さらに、驚きの真実が発覚したんです。
それは、古来より「3」という数字はマジックナンバーとして崇められてて、人間心理に深い安心感・心地よさを与え、物事の区切りとしてもよく使われてきたということ。・・・ちょっとオカルトな匂いがしますね(笑)
(中略)
やっぱり、人間の集中力を維持できる時間や精神的なストレスのメカニズムなどに、この「3」という数字は大きく関わっている・・・。
僕はそう確信したんです。
(中略)
であれば、人間が心理的に好む「3」の影響力が相場の世界にも密かに表れているんじゃないのか・・・?
「3」という数字が持つ不思議なパワーが、相場の動きに影響を与えているのではないか。
これらの解説を読む限りにおいて、決済時間が「3分後」であることの論理性はとくになさそうですね。どちらかといえばアノマリー的な感覚で「3分」を定めているように感じます。
過去チャートでの検証結果がフォワード成績を担保するか?
もちろん、開発者の本田浩輝氏は「3」という数字にピンときて、優位性を確認するために多くの検証をしたようです。
3分の検証を始め、他にも2分、4分、5分、10分…など様々な時間の区切りを試してみました。
果たして、この中で一体どれが安定して大きな利益に直結しやすい決済の時間なんだろう?
そもそもトレードを時間で区切って、利益を狙っていくこと自体が不可能な挑戦かもしれない…
気が遠くなること、合計3,500時間以上。
3500時間を超える検証作業で「3分後決済」の優位性が実証されたとしても、それは過去チャートにおける最適化(カーブフィッティング)になってしまっている恐れもあります。フォワードにおける優位性を担保するにはやや弱いかな?という印象です。
ここが『Go!Go!!スキャルFX』の少し残念なポイントです。仕掛けのロジック(3つの裁量手法)は決して悪くないので、3分後決済にこだわらずに利益を伸ばす決済方法(裁量)を組み込めば、優れた裁量FX商材として完成していたのではないかと考えます。
販売元:クロスリテイリング株式会社
発売日:2018/09/19
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