ねずみ講的な勧誘で100億円ものFXファンド資金を集めた「シンフォニー」
先日話題になった逮捕速報年36%を謳ったFX投資ファンド社長、逮捕への続報です。
このニュースは、高配当FXファンド(年36%)と称して総額100億円以上のお金を集めた容疑者が、その一部のお金を私的流用(生活費や高級プレジャーボート購入)したことで所得税法違反の疑いとして逮捕されたという事件です。
ニュースではほとんど触れられていませんが、高配当FXファンドの資金を集める際に、マルチ的な(ねずみ講的な)勧誘が全国で行われていたという噂があります。
今回は、その件について詳しく調べてみたいと思います。
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シンフォニーは投資系MLM(マルチレベルマーケティング)
どうやら今回のシンフォニーは、投資系MLM(マルチレベルマーケティング)と呼ばれる会社だったようです。
通常のMLMは、生活用品(化粧品、シャンプー、石けんなど)や食料品(健康ジュースなど)など、現物商品をピラミッド型の会員組織を作ってダイレクトに販売することが多いです。アムウェイなどがそうですね。
一方の投資系MLMは、FXファンドなどの金融商品を、ピラミッド型の会員組織で紹介・販売していくシステムです。ピラミッドのような段階的な販売網(組織)を持つため、販売時の報酬(マージン)も各層に分配されます。報酬(マージン)は下層から上層へと分配されることが特徴です。いわゆる”マルチ商法”です。
マージンは非常に高く、20万円の投資スクールに4人紹介する(入会させる)と10万円もらえたらしいですね。お金の亡者にとっては魅力的なマージンです。
投資系MLM会社としては、過去にFX詐欺事件としてニュースになった新宿のライフステージ事件などが有名です。ライフステージも多段階のマルチ商法で会員を増やし、5336人から146億円を集めました。
最終的にライフステージは、証券取引等監視委員会によって金融商品取引法に基づき違反行為の禁止を命じるよう東京地裁に申し立てられてしまいました。その後、内情が判明し、集めた資金をそのまま顧客の配当へ回すこと(いわゆるタコ足配当)も行われていたようです。
今回のシンフォニー事件も、マージン欲しさに多くの会員が新規顧客の勧誘に関わったようです。
シンフォニーのFXファンドのスキームとは?
シンフォニーの幹部連中は、会員に対してFX海外ファンドのスキームを、以下の様に説明していたと思われます。
↓
■シンフォニーワールドスクール(投資セミナー会社)
※後にSW Holdingsへ事業譲渡
↓
■コムズジャパン(架空の資産運用会社)
海外に送金するための日本の窓口
↓
■MSI BK LIMITED(ニュージーランドに登記してある法人)
ここに口座を開設させる
↓
■PWH(高利回りFXファンドの名称)
いずれ破綻する(お決まりのパターン)
※そもそもこのスキーム自体が嘘だった可能性もあるので、ほとんど運用されていなかったかも…
結局のところ、コムズジャパンは架空の会社であると速報では伝えていますので、最初から騙すことが目的(ポンジ・スキーム)でこのスキームが構築された可能性も考えられます。FXファンドへの投資は行われずに、タコ足操業的に、集めたお金から直接配当金を払っていた可能性が高そうですね。
シンフォニーは、単にFXファンドの窓口としての存在であるとの言い逃れを考えているのでしょう。いわゆる”斡旋(紹介)”というやつです。
会員が自分のお金を海外のFXファンドにつぎ込んだだけだと、そして投資は自己責任だと、逃げるわけですね。あえて複数の会社をからませる目的は、投資スキームを複雑にすることで、シンフォニー幹部の責任の所在をうやむやにするためだと考えられます。
おそらく大半の会員が、自分が投資したFXファンドの交付目論見書などろくに目を通していないのでしょうね。仮に読んだとしても、チンプンカンプンだったのではないでしょうか。交付目論見書の中で、しっかりとシンフォニー幹部は”逃げ”を打っているはずです。
シンフォニーからSW Holdingsへ事業譲渡か?
シンフォニーですが、現在は事業そのものをSW Holdings Co., Ltd.へ移しているようです。
- SW HoldingsのWEBサイト
SW Holdingsの所在地は、P.O.Box 1239, Offshore Incorporations Centre, Victoria, Mah’e, Republic of seyshellとあります。
セイシェル共和国にあるP.O.Box(ポスト・オフィスボックス=私書箱のこと)つまり、ペーパーカンパニーです。ちなみにセイシェル諸島ってどこにあるかご存じですか?
セイシェル共和国はタックスヘブン(租税回避地)としても有名で、数多くの金融専門会社(その多くはペーパーカンパニー)が、ここに拠点を置いています。
今回のSW Holdingsも御多分にもれず、ペーパーカンパニーです。住所を見てください。P.O.Boxとありますね。これは”私書箱”(Post Office Box)のことです。
P.O.Box 1239とは、「私書箱1239」という意味です。
この住所には、Capital Works Investment Limitedも登記されている
先ほどのSW Holdingsの住所ですが、全く同じ住所(私書箱1239)に、別の会社も登記されています。その会社とは、Capital Works Investment Limited(キャピタルワークインベストメント)です。
このCapital Works Investmentですが、投資詐欺被害にあったとの報告がネット上で相次いでいます。
- Capital Works Investment Limitに関する詐欺被害情報 その1
- Capital Works Investment Limitに関する詐欺被害情報 その2
- キャピタルワークスインベストメント、ワールド・インフォメーション、グローバルサポート等による被害
- Capital Works Investmentやらなくてよかったです
Capital Works Investmentは金融庁から無登録で金融商品取引業を行う者として平成25年4月5日に警告が発せられています。
出典:https://kantou.mof.go.jp/rizai/pagekthp032000026.html
そして、その備考欄には、「当該業者の契約の締結の媒介を行っていた株式会社グローバルサポート」とありますが、その㈱グローバルサポートも同様に警告が発せられています。
出典:https://kantou.mof.go.jp/rizai/pagekthp032000025.html
こうしてみると、Capital Works Investmentの実質的経営者は、グローバルサポートのY氏と推測できそうです。少なくともこの2社は、違いに深く関係しているとみてよいでしょう。
シンフォニー事件とグローバルサポートのトラブルの奇妙な類似性
このグローバルサポートが事業としておこなっていたのも、海外口座を利用した高利回り(年36%)FXファンドの勧誘です。今回のシンフォニー事件と似ていませんか?
しかもCapital Works InvestmentとSW Holdingsは、全く同じ住所(セイシェル共和国の私書箱1239)です。グローバルサポートは、集めた運用資金の大半が消失したとして、会員からの出金依頼に応じていません。
なんとも奥が深い事件です。複数の会社を巧みに使い分けた、大掛かりな投資詐欺事件に発展するのでしょうか?気になるので、もう少し調べてみたいと思います。