通貨ペアは「左側通貨」の現在価値を「右側通貨」の単位で表している
ところで、通貨ペアが何を表しているか、正確に答えられますか?
例えば、USD/JPY=110円。この表記の意味は何でしょう?「ドル円が110円である。」というのはちょっと説明不足です。
正しくは、「米ドル(USD)の1単位(1ドル)が日本円(JPY)で110円であるということを示している。」です。米ドルの1ドルと日本円の110円が等価交換できるということを示しています。つまり2国間の通貨同士の交換レートですね。
より正確には、通貨ペアは左側通貨(米ドル)の現在価値を、右側通貨(日本円)の単位で表しているのですね。
EUR/USD=1.10300ドルならば、「1ユーロ(EUR)が米ドル(USD)で1.10300ドルである」という意味ですね。EUR/USDは、ユーロの現在価値を米ドルの単位で表してます。
通貨ペアを”売る”とは?”買う”とは?
FX取引においては、通貨ペアを「売る」とか「買う」などと表現しますよね。この意味もしっかりと理解しておく必要があります。
USD/JPYという通貨ペアについて考えてみます。
USD/JPYを「買う」とは、正式にはドルを買っているのですね。どうやって?円を払ってです。
一方、USD/JPYを「売る」とは、(円を買って)ドルを売っているのです。
- USD/JPYを「買う」とは…ドルを買って円を売ること
- USD/JPYを「売る」とは…ドルを売って円を買うこと
つまり、通貨ペアの売買とは、左側の通貨の売買を示しているわけです。
USD/JPY=110円において、USD/JPYを「買う」行為とは、USD(米ドル)を「買う」ときに110円のJPY(日本円)を「支払う」こと示しています。
いわば、通貨の交換レートですね。
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ドルを「売る」ってどういうこと?
ここで多くの方が頭を悩ませます。
「ドルを円で買うのはわかるけど、ドルを売るってどういうこと?」
「ドルなんてもってないよね?」
この仕組みは株の空売りに近いのですが、FXの場合はもう少しシンプルです。
FX取引における「売り注文」とは以下の2つ(義務と権利)を含む特殊な注文です。
- 必ず買い戻さなければいけない義務
- 現在のレートと決済時のレートの差額を受け取る権利
そして注文時に義務を負い、決済時に権利が行使されます。
必ず買い戻す”義務”(買い戻す時はそのときのレートに従う)
例えば、ドル円の現在レートが110円であり、100円に下がると予想します。そこでドル円を110円で売ります。その後レートが100円まで下がり、決済をして10円の利益を手にします。
注文と同時に、以下の義務を負います。
- 必ず買い戻す義務(買い戻す時はそのときのレートに従う)
買い戻すタイミングは、数秒後でも1時間後でもかまいません。数日後でも半年後でもOKです。ただし、必ず買い戻すときの現在レートに従うことがルールです。
売ったときのレートと買い戻したときのレートの差額を受け取る”権利”
そして決済時には以下の権利が行使されているのです。
- 売ったときのレート(110円)と買い戻したときのレート(100円)の差額(10円)を受け取る権利
その結果、10円の利益を受け取ることができました。
損切りのケースでは…?
では失敗トレードではどうなるでしょう?
例えば、ドル円の現在レートが110円であり、100円に下がると予想します。そこでドル円を110円で売ります。注文と同時に、上の2つの義務と権利を含む約束をFX会社と自動的に締結します。ところがその後レートが120円まで上がり、このまま待っていても下がりそうにないので、やむなく損切りをします。結果は10円の損失です。
決済時には以下の2つの義務と権利が行使されています。
- 必ず買い戻す義務(買い戻す時はそのときのレートに従う)
- 売り注文時レートと決済時のレートの差額を受け取る権利
義務として110円で売ったものを現在レートの120円で買い戻さなければなりません。権利のほうの差額はマイナス(110円ー120円=▲10円)なので権利行使してもしなくても、差額を支払うことに変わりはありません。そしてその結果10円のロスとなります。
なんとなく理解できたでしょうか?
売ったら、必ず買い戻さなければならない
あまり深く考えず、以下のように捉えておけば大丈夫です。
これがFX取引における「売り注文」時の絶対的なルールです。買い戻すときにプラスになっているかマイナスになっているか?これで売り時の損益が決まります。