世界のFX取引に占める日本人の比率が57%…?
GMOグループ(GMOクリック証券とFXプライムbyGMO)の取引高が世界でも突出して大きいことは前回の記事で解説しました。
上のグラフを見れば一目瞭然ですね。
ところで、世界全体のFX取引に占める日本の比率が一体どれくらいなのか?気になりませんか?
ググってみると、「57%」という数字が多数ヒットします。
世界のFX取引に占める日本の比率が57%って、FX取引をしている人間の半分以上が日本人ってこと?
この数字(ソース)の出処を探ってみると、どうやら一つの記事に突き当たります。
世界のFX(外国為替証拠金取引)市場で存在感を増す日本の個人投資家。だがそのことで生まれる弊害もあるという。30年以上の経験を持つ為替のスペシャリストで、バーニャマーケットフォーカスト代表の水上紀行氏が解説する。
世界のFX取引に占める日本の比率は40%と言われていましたが、最近の調べでは57%までさらに伸びているもようです。日本の個人投資家層の市場占有率は、尋常ではないレベルにまで達してきています。市場占有率が高いということは、日本の個人投資家が市場への影響度も高くなるということになります。
バーニャマーケットフォーカスト代表の水上紀行氏による解説ですが、そもそも57%のソース元がまったく示されていません。なにを根拠に57%と述べているのか?まったく不明です。
しかも2014年の記事ですから、相当古いデータといえます。
BIS(国際決済銀行)が公開しているデータをチェック
スイスのバーゼルにあるBIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)が公開したデータがここにあります。
- https://www.rbnz.govt.nz/-/media/ReserveBank/Files/News/2019/Statistical-Release-Triennial-Survey-2019.pdf
トリエンナーレ中央銀行によるFX取引の実態レポート(2019年4月)です。
この中に以下の文言があります。
• Trading in FX markets reached $6.6 trillion per day in April 2019, up from $5.1 trillion three years
earlier.
翻訳すると以下の通り。
ソースはBIS(Bank for International Settlements、国際決済銀行)なので、間違いないでしょう。
2019年4月のデータですが、1日あたり6.6兆ドルがFX市場で取引されているということ。
一方、日本のデータがこちら。一般社団法人金融先物取引業協会が公開している店頭FX月次速報(2022年2月)です。
店頭外国為替証拠金取引取扱会員数:50社(2022年2月28日現在)
報告会員数:50社
出来高 5,388,187億円
2022年2月の出来高は538兆円です。
時期はやや異なりますが、BIS(国際決済銀行)のデータと比べてみます。
- FX市場全体…6.6兆ドル(110円換算で726兆円)/1日
- 日本市場…538兆円/月➔ 19兆円/1日
FX市場全体からすれば日本市場はわずか2.6%にすぎません。
あれ?57%じゃなかったっけ?
ほほほ。実はBISが示したデータは外国為替取引全体の取引高なんじゃよ。個人トレーダーだけでなく金融機関や輸出入企業を含めた全体の数字じゃ。
一方、金融先物取引業協会のデータは手店頭FX取引、つまり個人トレーダーの取引高じゃ。
実はBIS(国際決済銀行)が示したデータは、個人トレーダーだけでなく金融機関や輸出入企業を含めた外国為替取引全体の取引高です。
そして、金融先物取引業協会のデータは店頭FX取引、つまり個人トレーダーの取引高です。ですので、比較材料としては正しくありません。
本来であれば、各国の個人トレーダーの取引高を比較するべきなのですが、残念ながら世界各国の店頭取引シェアを示すデータを探し出すことができませんでした。
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店頭FX取引会社の世界ランキングを参考に日本FX会社のシェアを計算してみた
そこで、海外FX情報サイトが公開している店頭FX取引会社の世界ランキングをベースに日本の占有率を計算してみます。
まずは世界ランキング(日本のFX会社を除く)。
Largest Forex Brokers in the World by Volume for 2022
順位 | ブローカ名 | 国 | 取引高(億米ドル)/1日 |
1 | IC Markets | オーストラリア | 189 |
2 | Forex.com | アメリカ | 155 |
3 | XM | キプロス | 134 |
4 | Saxo Bank | デンマーク | 123 |
5 | HotForex | セントビンセント | 115 |
6 | Oanda | アメリカ | 107 |
7 | AvaTrade | アイルランド | 78 |
8 | IG Markets | 香港 | 68 |
9 | Pepperstone | オーストラリア | 67 |
10 | FxPro | イギリス | 65 |
出典:https://investingoal.com/largest-brokers-world-volume/
ご覧の通り、日本の会社は一社も入っていません。
GMOグループ(GMOクリック証券とFXプライムbyGMO)の取引高(AVDT)を、先の世界ランキングに入れてみると様相が一変します。
Largest Forex Brokers in the World by Volume for 2022
順位 | ブローカ名 | 国 | 取引高(億米ドル)/1日 |
1 | GMOグールプ | 日本 | 540 |
2 | IC Markets | オーストラリア | 189 |
3 | Forex.com | アメリカ | 155 |
4 | XM | キプロス | 134 |
5 | Saxo Bank | デンマーク | 123 |
6 | HotForex | セントビンセント | 115 |
7 | Oanda | アメリカ | 107 |
8 | AvaTrade | アイルランド | 78 |
9 | IG Markets | 香港 | 68 |
10 | Pepperstone | オーストラリア | 67 |
11 | FxPro | イギリス | 65 |
さらに日本にはもう一社、巨大なFX会社が存在します。DMM.com証券です。
DMM.com証券は残念ながら取引高は非公開です。とはいえ、預り証拠金残高は1497億円、口座数はGMOクリック証券を上回る88万口座です。
おそらく取引高はGMOクリック証券に匹敵するレベルであることは間違いありません。
仮にDMM.com証券の取引高をGMOグループの60%で見積もるとしたら、世界ランキングは以下の通りです。
Largest Forex Brokers in the World by Volume for 2022
順位 | ブローカ名 | 国 | 取引高(億米ドル)/1日 |
1 | GMOグールプ | 日本 | 540 |
2 | DMM.com | 日本 | 324 |
3 | IC Markets | オーストラリア | 189 |
4 | Forex.com | アメリカ | 155 |
5 | XM | キプロス | 134 |
6 | Saxo Bank | デンマーク | 123 |
7 | HotForex | セントビンセント | 115 |
8 | Oanda | アメリカ | 107 |
9 | AvaTrade | アイルランド | 78 |
10 | IG Markets | 香港 | 68 |
11 | Pepperstone | オーストラリア | 67 |
12 | FxPro | イギリス | 65 |
ご覧の通り、日本の2強がそのまま世界の2強となるわけです。
この12社のシェアを計算してみると…
- 12社全体の取引高…1965億米ドル/日
- GMO+DMMの取引高…864億米ドル/日(43.9%)
なんと!世界全体(トップ12ブローカー)の実に44%を日本のFX会社が占めているではないですか!
日本国内にはまだまだ巨大なFX会社(外為どっとコム、外為オンライン、みんなのFX、マネパ、ヒロセ通商など)がたくさん存在します。それらを含めれば、市場占有率は優に50%を超えるでしょう。
つまり…
世界のFX取引に占める日本の比率は40%と言われていましたが、最近の調べでは57%までさらに伸びているもようです。
この文章はあながち間違っていないと言えそうですね。