190万円の支払いをサイバーエージェントFXに求める裁判の判決が出た
非常に興味深い事件(裁判)の判決が出ました。裁判の名前は、「キャッシュバック金請求事件」(平成25年(ワ)第23093号)です。
裁判の概要は以下の通りです。サイバーエージェントFX(現:ワイジェイFX)がキャッシュバックキャンペーンと称して、取引額に応じたお金をキャッシュバックするサービスを行いました。2013年5月1日〜31日の1ヶ月間のキャンペーンです。
ところが、サイバーエージェントFX(被告)はトレーダー(原告)の取引をツール取引であると断定し、規約違反にあたるとして原告の口座を強制解約しました。さらに、キャッシュバック金の支払いも拒みました。
原告は受け取るはずだったキャッシュバック金190万円の支払いを求めて裁判を起こしました。
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サイバーエージェントFXの【全面敗訴】
注目の判決は2014年6月19日にくだされました。原告であるサイバーエージェントFXの全面敗訴です。主文をそのまま転載します。
主文
- 被告は、原告に対し、190万円及びこれに対する平成25年9月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
- 訴訟費用は被告の負担とする。
- この判決は仮に執行することができる。
平成25年(ワ)第23093号 キャッシュバック請求事件 判決文より引用
ご覧のとおり、原告トレーダーの主張を100%認めた判決となりました。
凍結(強制解約)の理由は?
サイバーが原告の口座を強制解約した理由は、原告の自動売買ツールを利用したと思われるトレード手法にあります。原告は、1日に200〜500回のトレードを行なっていました。数秒〜数十秒程度で決済を行う、超短期スキャルです。注文から4秒程度で決済を行うトレードも80件以上ありました。
サイバーからすれば、これは自動売買ツールを使用していると考えても不思議ではありません。しかも、相当儲けていたようです。この点もサイバーにとっては排除したい理由だったのかもしれません。
サイバーは、原告のトレード方法が規約違反に該当するとして、通告の上、口座を強制解約しました。
原告のトレードは、全て手動だった!?
ところが、原告は、自動売買ツールの使用疑惑を真っ向から否定します。原告トレーダーは、FXトレードファイナンシャルのMetaTrader4と、FXDDが提供するJForexというプラットホームを利用し、そのシグナルを参考にしながら、サイバーエージェントFXの口座で取引をしていました。
時間足は1分足、取引のタイミングは数秒程度ですので、超短期スキャルですね。使用しているモニターは6枚。プロトレーダーですね。6枚のモニタと、移動平均線、ティックチャートを駆使しながら、手動でスキャルをおこなっていたと主張します。
うーん、本当ならば、すごいですね。
裁判の争点はなにか?
裁判の争点は、自動売買ツールを使用していたかどうか?ではありません。サイバーがキャッシュバック金の支払いを拒むことができるかどうか?という点が争点です。裏を返せば、サイバーが原告トレーダーの口座を強制解約したことの是非が問われていることになります。
裁判所は、原告トレーダーの手法が、そもそも強制解約の要件を満たしていない(不正な取引ではない)とし、当然、キャッシュバック金は支払われるべきだ、と判断しました(支払いを拒むことは信義則に反する)。
つまり、サイバーの主張は言いがかりだ、ということですね。
これは氷山の一角にすぎない
儲かっているトレーダーの口座凍結の話は、今に始まったことではありません。このブログでも過去に取り上げています。
GMOクリック証券でも1700万円を稼いでいたトレーダーの口座が凍結されています。表沙汰になっていない口座凍結は、ゴマンとあります。その大半がスキャルでの自動売買ツール利用が規約違反に当たる、という理由に依ります。FX会社のカバー取引が、自動売買ツールを利用した超短期スキャルについていけないというのが表向きの理由です。
しかし、本音は違います。ツールを利用した超短期スキャルは、やり方によっては非常に儲かるため、FX会社としては排除したいのです。早朝スキャルなどのEAも、一時期かなり稼げましたが、ほぼすべてのFX会社で使用が禁止されました。
これも同じことです。FX会社としては、稼ぐトレーダーを極力排除したい、というのが本音です。
今回の裁判は、そんなFX会社のブラックな部分を浮き彫りにした、素晴らしい判決だったと思います。
キャッシュバック金が190万円って…
それにしても、1ヶ月のキャッシュバック金が190万円というのは、驚きですね。一体どれほどの取引をおこなっていたのでしょう?わずか1ヶ月のキャンペーン期間です。
判決文には、約77億通貨もの取引高があったと記載があります。
平成25年5月1日からのキャンペーン期間中の米ドル/円の合計取引高は、77億0842万200通貨であった。これを別紙「キャンペーンの概要」に当てはめると、計算上、原告には190万円のキャッシュバック金が発生することになる。
平成25年(ワ)第23093号 キャッシュバック請求事件 判決文より引用
スキャルで、これほどの取引を行うというのは、凄いですね。
真似しちゃダメですよ
念のため、お伝えしておきますが、普通の人が彼と同じことをやろうとしても、99.99%できないと思います。超短期スキャルで稼げる人は、天才的な資質を持っている方だけです。一般人が同じことをしても、資金を減らすだけです。
私達、才能のない一般人は、スイングトレードのようなゆったりとした投資のほうが向いています。真似しないようにしましょう。