”詐欺まがいのトルコリラ円の広告”とツイート…
トルコリラの地獄の釜が開きました。
ロング筋の奮闘もむなしく、トルコリラの下落基調は弱まる様子を見せませんね。
そんな中、Twitter上でつぶやかれたひとつのツイート。それがこちら。
詐欺まがいのトルコリラ円の広告
現在のインフレ率 約12%前後で考えると
1年後、1リラ=13.2円くらい、スワップポイント約9万円
2030年には1リラ=4.2円 スワップポイント2万8600円7万円のフルレバレッジでやれば スワポ 10万円でもインフレの下落 -18万円
順調にいけば1年以内にロスカット pic.twitter.com/NbsgoTWDlp— 徘徊人 (@haikai67) August 7, 2020
この広告、どこの証券会社のものかわかりますか?正解は「LION FX」でおなじみのヒロセ通商です。
100ロットをホールドした場合、1日のスワップポイントが280円付与されるというもの。10日後には280円、30日後には8,400円、1年後には102,200円、5年後には511,000円、さらに10年後(どれだけ先なんだよ!)には1,022,000円に膨れ上がるというシミュレーションです。
証拠金は70,000円でOK。7万円が10年後に100万円に大化けする(可能性がある)という夢のような投資話です(笑)。
「いいですか、あなたの7万円が10年後に100万円になるんです!」
「70万円だったら1000万円、700万円だったら1億円ですよ!」
「すごくないですか!?こんな投資話、ここだけの話ですよ!」
フレーズだけ聞いたら怪しさ満載ですよね。
もちろん、この話には裏があります。それが一番下に記載されている注意書き。
※上記は2020年8月4日にトルコリラ/円の買いポジションを保有し、為替レートやスワップポイント等の変動がない場合を想定しています。
為替レートが変動しないことを前提…って、非現実的すぎてシミュレーションとして杜撰(ずさん)すぎませんか?
しかもわずか5日間の運用(スワップ実績)を基準に、1年後〜10年後を試算するという見通しの甘さ…。
※単位:100Lot(100,000通貨)あたり、2020年8月4日実績。スワップポイントは政策金利や為替変動等によって日々変動します。またプラス(受け取り)からマイナス(支払い)に転じる場合もあります。
さらに、スワップポイントは状況次第でマイナス(支払い)に転じることも大いにありえます。毎日10年後まで280円が欠かさずもらえるようなグラフは、印象操作がひどいと言われても仕方がありません。
スワップポイントがマイナスになる可能性については、トルコリラを取り扱う多くのFX会社が注意喚起をしています。
トルコリラのスワップポイント受取額と相場変動リスクについて[20/04/16]
トルコ銀行監督庁が日本時間13日早朝に非居住者によるリラ売り制限を強化したことで、トルコリラのフォワード市場が不安定となり、今後トルコリラは、スワップポイントの受取額がゼロになる、あるいはマイナスとなる観測が浮上しております。またスワップ規制でトルコリラの減価が続いており、昨日(4月15日)には「トルコリラ/円」が約20ヵ月ぶりに史上最安値を更新しております。
引用:外為どっとコム|お知らせ
【重要】「トルコリラ/円」の相場変動ならびスワップポイントに関するご注意
現在、トルコの地政学リスクの高まりにより、トルコ金融市場が乱高下しております。お客様におかれましては、以下の点にご注意くださいますようお願いいたします。
トルコリラ/円のスワップポイントに関するご注意
すでにスワップポイントは乱高下しておりますが、今後の状況により、さらに変動する場合がございます。
また、金利情勢によっては買い建玉売り建玉ともにスワップポイントが支払いになる可能性もございますので、あらかじめご了承ください。引用:楽天証券|お知らせ
【最重要】トルコリラ/円のスワップポイントの変動について
平素より、トレイダーズ証券をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
現在、トルコの短期金融市場の急変動により短期金利に変動が生じているため、当社においてもスワップポイントが不安定な状況でございます。
今後も、トルコリラ/円のスワップポイントが政策金利から大きくかい離した金額となる可能性があり、また、広告表示の金額を提示できないことや平常時と大きく異なる金額を提示する場合がございます。
なお、短期金利の需給が一時的に急変した場合、受け払いの方向が逆転することや売り・買い両方の取引で支払いになること、場合によっては、営業日の途中で当日スワップポイントを急遽変更させていただく等の可能性もございます。
引用:みんなのFX|お知らせ
【2024年5月版】優位性の高いFX商材 Best4
まだまだ懸念材料が…
さらに上の広告には、インフレ率などの考慮も一切ありません。それがTwitter民が指摘している点でもあります。
トルコの現在のインフレ率は11.8%…約12%ですね。当然実質金利はずーっとマイナスのまま。お金の価値は急速に目減りしています。このままではトルコリラ通貨の下落は止まりません。為替においてインフレ率の高い国の通貨は原則「売る」のが基本です。その結果、リラの価値はどんどん下がります。
Twitter民の計算によれば、単純計算で毎年12%ずつ下落すると想定しています。1年後は13.2円(15円スタート)、2年後には11.6円、3年後には10.2円…10年後には4.7円程度まで下落するとの想定ですね(実際はこんなに計算通りにはなりませんが)。
リラの下落をなんとしてでも食い止めたいトルコ当局は、なりふり構わずあらゆる施策を矢継ぎ早におこなっています。残念ながら、トルコの経済政策は万策尽きた感がありますね。リラの下落を食い止められそうにありません。
あたりまえですが、スワップを手にするにはトルコリラを「買わなければ」いけません。しかしリラが下落すればキャピタルゲインも下落する(マイナスになる)ため、通貨そのもののマイナスがインカムゲイン(スワップ金利)のプラスを大きく食い荒らすことになるわけですね。
通貨の下落による損失 > スワップ金利による利益
Twitter民は、1年後に得られるスワップ金利(102,000円)よりも、1年後の通貨下落による損失が180,000円となるため、トータルでマイナス…つまり1年も待たずに強制ロスカットになるだろうと述べているわけですね。
もちろんロスカットを防ぐことは可能です。投下資金を増やしロスカットレベルを下げればよいのです。そうなると7万円では足りなくなります。
結局、ヒロセ通商のトルコリラ円の広告は”絵に描いたモチ”だといいたいのでしょうね、Twitter民は。
ヒロセ通商のトルコリラ円の広告は「ウソ」とは言いませんが、リスクの提示があまりにもアバウトすぎて、勘違いしてしまうトレーダーも多いように感じます。
つまるところ、投資は自己責任、です。