『赤本FX』検証とレビュー
チャートマスター副社長による”裁量”トレード商材
株式会社チャートマスターから販売されている『赤本FX』をレビューします。チャートマスターはれっきとした金融商品取引業者(投資助言・代理業者)です。
- 登録番号:関東財務局長(金商)第2086号
ところが過去には証券取引等監視委員会から行政処分を受けたこともある会社でもあります。行政処分の理由は次の2点。
- 無登録で店頭デリバティブ取引の媒介を行っている状況
- 無登録業者に名義貸しを行っている状況
結果的に業務停止命令(平成26年6月6日から平成26年12月5日まで)+業務改善命令という厳しい行政処分を受けることになりました。詳細はこちら→株式会社チャートマスターに対する行政処分について(関東財務局)
チャートマスターの新商材が『赤本FX』です。なんと副社長(笹田喬志氏)自らが開発しレクチャーするというFX商材です。
チャートマスターのFX商材は過去にいくつかレビューしたことがあります。
過去の商材はどれも自社の「PAチャート」を販売するためのフロントエンド商材という印象でした。PAチャートとはMT4のようなチャートシステムです。詳しくは以下の動画をご覧ください。
PAチャートはMT4のように無料で使用できるわけではありません。月額利用料が25,000円かかります。そして、株式会社チャートマスターが日本での”独占販売権”を所有しています。
また「チャートマスターアカデミー(CMA)」というFX塾も開催していますね。公式サイトは2017年3月以降更新が途絶えています。今回の『赤本FX』も同様にPAチャートやCMAを売り込むための「まき餌」なのでしょうか?
『赤本FX』で学べること
”フィボナッチリトレースメント”を活用した裁量手法
『赤本FX』で解説されるロジックは、フィボナッチリトレースメントを活用した裁量手法が中心です。
フィボナッチリトレースメントとはフィボナッチ数列を用いて相場の値動きを予測するテクニカルです。フィボナッチ数列の代表的な指標は「23.6%」「38.2%」「61.8%」「76.4%」などです。安値や高値、反転ポイントからこれらの数列を元にラインを引くと、サポート・レジスタンスラインとして働くことが多いとされています。とはいえ大衆心理の一つといえばそれまでですが。外為オンラインの実践チャート術から画像をお借りします。
トレンド終焉からの”反転”を確認して仕掛ける(反転トレード)
『赤本FX』は、フィボナッチリトレースメントを活用して仕掛けや手仕舞いをおこなう裁量トレードです。トレンドの終焉からの反転を確認し、そこからフィボナッチリトレースメントで手仕舞いポイントを決めてトレードをおこないます。
反転を確認しやすいトレンドを捉えるためにまずは「戻りのない相場」を確認することがファーストステップになります。押し目や戻りを一切付けない一方的なトレンドは、その反動で反転しやすいというのが理由です。その後、反転の兆しを捉え、実際に反転したことをチャート形状から確認してから仕掛けをします(ENTRY)。手仕舞いはフィボナッチリトレースメントを使い、反転からの戻り幅を意識して利確していきます。
ルールは明確ですが、裁量は大いに入ります。相応の相場観も求められる手法といえます。
『赤本FX』の欠点
まず『赤本FX』のデメリットについて解説します。以下の欠点が許容できない人は買うべきではないでしょう。
トレンドの反転を見極めるのは簡単ではない(相応のトレーニングが必要)
『赤本FX』は独自のルールでトレンドの終焉&反転を見極め、仕掛けていくというもの。しかしながらトレンドの終焉や反転の見極めは簡単ではありません。あとからチャートを眺めれば(このポイントが反転のタイミングだったんだな)と理解できますが、リアルタイムでの判定は非常に難しいです。相場の転換点を正しく察知して仕掛けることができれば、それこそ初動を捉えることになりますので容易に利益を出すことが可能になりますが、簡単ではありません。相応の場馴れというか相場観(経験値)が大いに求められます。『赤本FX』で学んだことを自分なりに咀嚼し、検証・実践を繰り返すことが絶対的に必要です。
トレードチャンスは多くない(1時間足・4時間足推奨)
トレンド転換をひたすら待ち、仕掛けていくスタイルです。1時間足や4時間足を使うためトレードチャンスはかなり限定されます。
- トレンドの反転を見極めるのは簡単ではない(相応のトレーニングが必要)
- トレードチャンスは多くない(1時間足・4時間足推奨)
『赤本FX』の評価点
次に『赤本FX』の評価できるポイントを解説します。
”トレンド転換”に的を絞る一点突破型ストラテジー
『赤本FX』はトレンド転換を見極めて仕掛けるというシンプルな手法です。それ以外は一切学べません。ある意味潔いともいえます。トレンド転換ポイントを高精度で見極めることができるようになるには相応の検証とトレーニングが必要です。当然ダマシも多く発生します。『赤本FX』のロジックをきっかけにトレンド転換トレードを深く学んでいくのもアリかもしれません。本気で取り組めば、強力な武器になりえます。
スイングトレードに適したストラテジー
『赤本FX』は1時間足や4時間足を執行時間足としますので、デイトレではなくスイングトレードです。1時間毎、4時間毎にチャートを眺め、ルールに照らし合わせてトレンド転換を確認できるほどのマインドに余裕がある人に最適なストラテジーといえます。
- ”トレンド転換”に的を絞る一点突破型ストラテジー
- スイングトレードに適したストラテジー
『赤本FX』総合評価
【結論】”トレンド転換”を確実に見極めてフィボで適切な利確幅を狙う裁量ストラテジー
手法を極めるには相応の”検証と実践トレーニング”が必要だが身につければ強力な”武器”となり得るだろう
最終的には各人の経験値(相場観)がものをいうストラテジーだ
じっくりとチャンスを待ち、転換点を確実に捉えることができれば利益を出すことは難しくありません。スイングトレード手法の選択肢の一つとして持っておけば強力な武器になりえます。
ただし本気で極めるにはかなりの検証や訓練が必要です。ルールはありますがルール通りにいかないケースも多々あります。相場は生き物だからです。ストラテジーの精度については最終的には各人の相場観(経験値)に左右されることが大きい手法といえるでしょう。
本気で取り組む覚悟があるなら購入の価値はあります。
- ”トレンド転換”に的を絞る一点突破型ストラテジー
- スイングトレードに適したストラテジー
- トレンドの反転を見極めるのは簡単ではない(相応のトレーニングが必要)
- トレードチャンスは多くない(1時間足・4時間足推奨)
『赤本FX』を購入するべき人
- 裁量スイングトレード手法を求めている人
- チャンスが来るまでじっくりと「待つ」ことが可能な人
- トレンド転換ポイントを狙い撃ちしたい人
『赤本FX』を購入してはいけない人
- スキャルピングやデイトレ手法が好きな人
- 「待つ」ことができない人(ポジポジ病の人)