ストップ狩りとは?

   2015/01/14

ストップ狩りの真実

先日の記事(FX第4アービトラージシステム 【検証とレビュー】)で、ストップ狩りについて触れたところ、ストップ狩りとは何か?ストップ狩りは実在するのか?という問い合わせを多数頂きました。

そこで、今回はストップ狩りについて、私なりに解説してみたいと思います。

トレーダーであれば、一度は耳にしたことのある「ストップ狩り」。2ちゃんねるなどでも、時々話題になりますね。

ストップ狩りとは、意図的にレートを操作して、トレーダーのストップポジションをヒットさせてロスカットさせることで、ブローカーが利益を上げることです。

レートを操作する、ということですが、本当にそんなことは可能なのでしょうか?そもそも、ストップ狩りは本当に実在するのでしょうか?

ストップ狩りには2種類ある

ストップ狩りと呼ばれるレート操作には、実は2種類(2パターン)あるのをご存じでしょうか?

1つは、証券会社(ブローカー)によるストップ狩り。(今回の記事で取り上げます)

もう1つは、ファンド系などの機関投資家によるストップ狩りです。(別の機会に解説します)

この2つを混同している方が多いようですので、ちょっと詳しく解説してみたいと思います。

※記事が長くなるので、今回はブローカーによるストップ狩りの話題のみにします。

ブローカーによるストップ狩りとは?

ブローカーによるストップ狩りは、根が深いし複雑です。

FXは、そもそも相対取引が中心ですので、ブローカー毎に提示レートは少しずつ異なることはご存じだと思います。相対取引ですから、理屈上はどのようなレートを提示しても良いわけです。

他のブローカーが1ドル=100円で提示しているときに、1ドル=101円で提示しても理屈上は問題ありません。ただ実際には、ブローカー毎に大きくレートが異なることは通常ありません。

これが相対取引の基本です。

※株式投資は、特定の取引所が存在し、すべての投資家が取引所を介在して取引を成立させます。一つの取引所で取引される株式は、すべて同じ価格となります。これは「取引所取引」と呼ばれます。FXでもクリック365は取引所取引となります。

そして、この相対取引であることがストップ狩りを引き起こす要因の一つです。

ブローカー側には、全トレーダーのストップポジションが把握できています。どのレート(値)にストップ(損切りポイント)が集中しているか、一目瞭然なのです。

意図的にレートを操作することで、その大量ストップポジションをヒットさせれば、ブローカー側の利益になります。

ところで、どうして大量のストップをヒットさせることが、ブローカー側の利益になるのでしょうか?そもそも、ブローカーは手数料商売のはずです。

FXブローカーの仕組みについて”おさらい”

基本的には、ブローカーは取引時の手数料(スプレッド)で稼いでいる手数料商売のはずです。いわゆる利鞘(りざや)ビジネスです。

つまり、トレーダーがトレードすればするほど、その都度発生する手数料で、ブローカーは儲かるわけですね。

これには、ブローカーはトレーダーとマーケットとの間を介在しているという前提があります。(これをカバーと呼びます)

ブローカーは、トレーダーからの注文一つ一つをインターバンク市場に流して、反対売買を行うことでポジションリスクをゼロにしています(カバー率100%)。簡単に言えば、ブローカーは、両建てをしているわけですね。

カバー率100%であれば、ブローカー側のポジションリスクはゼロですので、トレーダーが儲かろうが損をしようが、ブローカーは痛くも痒くもないわけですね。

純粋に、利鞘(手数料=スプレッド)分がブローカーの利益になるわけです。

フルカバー業者は、全体の7割

ところが、全てのブローカーが、カバー取引を行っているわけではありません。

ここに興味深いデータがあります。金融庁が当時のFXブローカーを対象に一斉調査を行ったときの資料です。
>>外国為替証拠金取引業者に対する一斉調査の結果について:金融庁

2010年4月のデータですので少し古いですが、この資料の中に「顧客及びカバー取引先との取引の状況」という調査結果が掲載されています。

カバー取引の実施状況
フルカバー 一部カバー
73% 27%

フルカバーをしている業者は、全体の73%しかありません。

さらに、カバー取引の方法ですが、個別取引ごとに行っているブローカーは、全体の71%しかありません。しかも、前回調査結果よりも減少しています。

カバー取引の発注のしかた
個別取引ごと 一定時間又は
一定額ごと
業者の判断
今回 71% 16% 13%
前回 79% 13% 8%

業者の判断でカバー発注をしている業者は13%もあります。

非カバー業者にとって、トレーダーは ”利益相反”

カバー取引は、本来であれば100%行うべきであり、個別取引ごとに行うべきです。それが実施されなければ、そのまま、ブローカーがリスクを負うことになります。

カバーをしないということは、ブローカー自身がリスクを背負いながらトレーダーと取引をしているということになります。

この場合、トレーダーが儲かればブローカーが損をし、トレーダーが損をすればブローカーが儲かるという構図が完成します。つまり、ブローカーとトレーダーの利益が相反することになるわけです。「ブローカー VS トレーダー」という構図です。

ブローカーにとっては、リスクも大きいですが、手数料以上に儲かる可能性もでてくるわけですね。トレーダーのポジションが見えている分だけ、ブローカー側が有利です。

以下のデータは、自己勘定取引を行っているブローカーを割合を示しています。前回調査時以上に増えていますね(11% → 16%)。

自己勘定取引
行っている 行っていない
今回 16% 84%
前回 11% 89%

自己勘定取引とは、インターバンクによるカバーを行わず、ブローカーが自らのリスクで行う取引のことです。

自己勘定取引の場合、相場の急変やトレーダーによるポジションが偏った場合などに、ブローカーのリスクは一気に増大します。もちろん、その分、手数料以上の利益も狙えるわけです。

ブローカーによるストップ狩りの真実とは?

それでは、もう一度ブローカーによるストップ狩りに話を戻しましょう。

もうおわかりだと思いますが、インターバンクとカバー取引をしていない、もしくは一部しか行っていないブローカーの自己勘定取引によって、ストップ狩りが行われている(いた)可能性があるわけですね。

全ての注文を個別にカバーするのは、それなりのシステムが必要です。相場の急変にも対応できるだけのシステムを維持するには、莫大な設備投資が必要でしょう。

さらにカバー先金融機関による審査も入ります。審査では、ブローカーの財務状況や経営状態などをチェックされます。

資金力の小さな、いわゆる弱小ブローカー(もしくは新興ブローカー)は、実施したくても100%カバーを実施できないケースもあると思います。もしくは口座数が少ないため、手数料では利益をまかなえないブローカーも存在するかもしれません。

だからこそ、リスクを背負ってまで自己勘定取引を行うわけですね。リスクも大きいが、利益も狙えるというわけです。

しかも全トレーダーのポジションを見ることのできるブローカーは、断然有利な立場にいます。

簡単に利益を出せるという誘惑の存在

彼らには、全トレーダーのストップポジションが見えているわけですから、それを刈り取れば、ブローカー側の利益になります。これ、誰でも絶対やりたくなりますよね・・・少なくとも誘惑に駆られます。

全トレーダーのストップポジションが丸見えなんですよ。レートをちょこっと操作してストップを刈り取れば、簡単に利益が発生します。

これほど簡単なトレードは、この世に存在しないでしょう。相対取引で、かつ自己勘定取引だからこそ可能なわけです。

ストップ狩りがシステムに組み込まれている?

さらに悪質なブローカーになると、システムそのものにストップ狩りのプログラムが組み込まれている場合があるそうです(これは推測の範囲です)。

つまり、一定規模のストップポジションが集まると、自動的にレート操作が行われ、ストップ狩りを行うというものです。それらがすべてプログラミング化されている、という噂です。

信じられないような話ですが、ありえなくもない、と思います。

実際にストップ狩りは、あったのか?

ブローカーによるストップ狩りの背景は、ある程度ご理解いただけたと思います。では、実際にストップ狩りは行われたのでしょうか?もしくは、今も行われているのでしょうか?

実際、明らかに不自然なレートが発生することは、たまにあります。それが、ストップ狩りだったのか、たまたまシステムトラブルによるバッドティック(異常値)だったのか?私たちにはわかりません。

最近ではバッドティック(異常値)が発生すれば、無効取引になる場合がほとんどですが、一昔前ではそのまま取引成立とされた場合もありました。

その場合、トレーダーは泣き寝入りです。多くのトレーダーは、それを「ストップ狩り」と称しているようです。故意なのかエラーなのか?真相は不明です。

異常なレート値を見て、ストップを狩られたとしても、「ストップ狩りだ!お金を返せ!」とブローカーに文句を言っても仕方がありません。そもそも相対取引が前提ですので、違法でもなんでもありません。

ただ、一昔前に比べれば、ストップ狩りのような明らかなレート操作は、影を潜めてきたように思えます。それでも、わけのわからないブローカーでは、細々と行われていると思います。

”外為どっとコム” のカバー率は?

私たちに、防衛する手だてはあるのでしょうか?

一つは、カバー率100%のブローカーでトレードを行うことです。カバー率については、ブローカーのサイトに記載していないところが大半です。確認するには、直接問い合わせてみるのが一番確実です。

日本で最大手の外為どっとコムに問い合わせをしてみました。電話での回答ですが、カバー率は100%とのことでした。すべて自動ではなく、一部手動でのカバーだそうです。

カバー先は多岐にわたっていて、三菱東京UFJ銀行、ドイツ銀行、シティバンク、野村證券・・・などなど。まずは、安心できそうです。

ご自身の使っているブローカーについても、心配であれば、一度確認してみると良いかもしれませんね。

それほど気にすることはないかも

最近は、極端なレート異常(バッドティック)も少なくなりました。たとえ発生したとしても、ブローカー側で無効注文としてくれることが大半です。

あからさまなストップ狩りが行われれば、すぐさまその噂は、ネットで広まります。そんなことをすれば、口座解約にもつながりかねません。ブローカーにとっては、むしろ口座解約の方がリスクが高いと言えます。

ブローカーもそこまでバカではないはずです。わけのわからないブローカーを使っているのでない限り、ストップ狩りを気にすることはないかもしれませんね。

余談ですが・・・

最近(2012年4月24日)、某ブローカーでバッドティックが発生したようですが、この方の場合は、バッドティック(ストップ狩り?)によって、損失ではなく利益が発生したというパターンだったようです。

バッドティックが、修正(無効取引)されなかったという、極めて稀なケースですね。詳細は、以下のブログの記事をご覧下さい。
>>真実を伝える! 【元・金融機関員のFXブログ】

※ファンド系などの機関投資家によるストップ狩りについては、あらためて記事にしたいと思います。

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