”弁証法”を使った販売ページ
バイナリーオプション ザ・シークレットの販売ページですが、非常に上手いですね。これは、弁証法という技術(テクニック)を使っています。恐らく多くの方が販売ページを読むと、思わず、引き込まれてしまうのではないでしょうか?
衝撃的な出だしから、惹きつけられます。
バイナリーオプション商材のほぼ全ては、机上の空論である。
(中略)
断言します。こういった類のほぼ全てのバイナリーオプション商材に再現性はありません。
冒頭で、これまで販売されてきた大半のバイナリーオプション商材を否定しています。そして、その理由を淡々と述べていきます。ある種の業界内”暴露”ですね。販売者側の欺瞞を、論破していきます。最後に、それらの不都合な真実への、反論(というか解決するための答え)を提示します。
”これまでのバイナリーオプション商材は、○○という理由があって「使えないダメ商材」でしたが、私が販売するザ・シークレットは、全ての課題を解決した素晴らしい商品ですよ!”
これは弁証法という一種の議論のテクニックです。最初に命題(テーゼ=正)を出し、次にそれを否定する反対の命題(アンチテーゼ=反対命題)を提示します。そして最後に、すべてをまとめた結論・命題(ジンテーゼ=合)を提示することで、説得力を強める手法です。
単純に自身の命題を述べるだけよりも、一段と説得力が増します。こんな感じです。
「Aという商品がある。Aにはこういった特徴がある。」
「しかしAには、以下に述べる欠点・問題がある。」
「そしてそれらの欠点・問題を100%解決したBという商品を開発した。
「だからA商品に比べてB商品は完璧だ、すばらしい。」
ザ・シークレットは、これまで販売されてきた様々なバイナリーオプション商材の問題点を、完全に解消したことを謳っている商品のようですね。
ナイトオブバイナリーは糞(くそ)
「ザ・シークレット」の販売者は、自社商品であるナイトオブバイナリーを「糞」と断言しています。(すみません、こんな汚い言葉は使いたくないのですが・・・)ナイトオブバイナリーは、以前この会社が販売していた商品です。
申し遅れました。
マイクロジャパン株式会社システム開発Dグループの竹富です。マイクロジャパンと聞いて、ある方は『ナイトオブバイナリー』を思い出されるかも知れません。
誤解を恐れずはっきり言います。あれは糞だと思います。
同じ会社の奴が自社商品を糞ってどういうことだ?と思うかもしれませんが、事実ですのでしょうがありません。
ザ・シークレット販売ページより引用
これもコピーライティングテクニックの一つなのかもしれませんが、ちょっと残念な表現です。ナイトオブバイナリーや、販売会社を信用して購入したお客様のことを、どのように考えているのか担当者に聞いてみたいです。仮に「ナイトオブバイナリー」が糞であれば、その糞を購入したお客様は、何なのでしょうか?
キプロス共和国ってご存じですか?
ザ・シークレットは、Smart Optionという海外のバイナリーオプション商品に特化した自動売買システムです。Smart Optionですが、おそらく大半の方が初めて聞いた名前だと思います。Smart Optionは、金融商品の名前です。
この金融商品を販売しているのは、ChargeXP Investment Ltd.という海外のブローカーです。こちらからこの会社の日本語サイトにアクセスできます。
- ChargeXP Investment Ltd.
この会社の所在ですが、キプロス共和国に拠点があります。キプロス共和国が、どこにあるかご存じでしょうか?
トルコの南にある島です。キプロス共和国という独立国家(一応イギリス連邦に加盟しています)です。2005年までは、一部の税制が排除されていたタックスヘブン(租税回避地)でしたが、現在は違います。実はキプロスには多くのFXブローカーが存在します。EUに比べて若干、金融に関する法律が緩いことが理由です。EUだけでなく、ロシア系のブローカーもキプロスに拠点を置き、EUで活動を行っているようです。そういえば、FXPROもキプロスです。(FXPROは数年前に、集団訴訟を起こされていましたね)
「ザ・シークレット」は、そのキプロスに拠点を置く民間ブローカーでのトレードとなります。私から見れば、リスクがあると思えるのですが、みなさんはどのように感じますでしょうか?
もちろん日本人用デスク(サイト)もありますが、会社のサイトに日本のデスク所在地は記載されていません。電話番号とメールアドレスのみです。ほとんど、実体がつかめません。
日本の金融庁の管轄外(無登録業者)です。詳しくは、金融庁のホームページをご覧下さい。
- 無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください(金融庁ホームページ)
同じブローカーを採用している別のFX商材もあります。
まずは、ChargeXP Investment Ltd.という会社を信頼できるかどうか?この商材を検討する以前に、この点を十分に考える必要があります。初めて聞く海外のブローカーにあなたのお金を送金するわけです。
少しだけイメージしてみて下さい。聞いたことのない海外の民間会社の口座に、あなたの大切なお金を送金するように言われた場合、どうしますか?一般的な常識からすれば、そう簡単に送金はしないはずです。しっかりと、自分で調べてから送金するでしょう?
ましてや、キプロスという国のブローカーです。徹底的に調べた上で、行動をおこすべきだと思いませんか?私だったら徹底的に調べて、それでもリスクが払拭できないようであれば絶対に送金しません。
投資においては排除が容易なリスクは、徹底的に排除すべきです。これらも含めてリスクを十分認識した上で、この商材購入について、しっかりと検討されてみてはいかがでしょうか。
リスクがコントロールできない怖さ
商材の評価はひとまず置いておいて、私には海外ブローカーを使用することに関して、潜在的なリスクを感じています。キプロス共和国にあるブローカーのリスク。ある程度、日本においても実績があるのであれば、まだ検討の余地はあると思いますが、そもそも会社設立が2009年ですので、わずか3年の社歴です。実績を作るとすればこれからでしょう。
この会社にお金を送金するリスクが「計り知れない」ため、この商材(ザ・シークレット)が勝てる勝てないに関わらず、私は躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。
こんなことを書くと必ず反論される方がいます。「投資はそもそもリスクを自ら取っていかないと、リターンも得られないのでは?」私もトレーダーとして、この意見には一部賛成します。しかし、この場合のリスクとは自分で測定可能なリスクです。言い換えれば自分でコントロールできるリスクということです。
EA(自動売買システム)を使うにしても同じです。
もし万が一損失が発生するとすれば、それはどれくらいの割合で発生し、その時の損失額はこれくらいである、またその損失の発生を防ぐためにこのような対処を取っている、ということが明確になっていて、それでも損失が発生した場合に損失を受け入れる覚悟ができていれば、リスクをコントロールできている、と言えるでしょう。
しかし、初めて聞く海外の、しかもキプロス共和国のブローカーに、資金を送金する(預ける)リスクは私にはコントロールできません。その会社が消えた(倒産した)場合、預けた資金はほぼ100%戻ってこないでしょう。私はそのリスク(損失)を到底受け入れられません。そんなリスクを冒すくらいであれば、もっとリスクの低い(あるいはコントロールできる)金融商品に投資をします。
リスクの取り方は人それぞれですので、私がとやかく言うことではないと思いますが、リスクを自分で把握していない人が多いような気がします。