侍マトリックスの資産増減曲線について考えてみる
侍マトリックスの検証の続きです。前回の記事はこちら。
前回の記事において、侍マトリックスEAのフォワードデータ(?)から、このEAの特徴などを推測しました。今回はより詳しく精査するとともに、EAの優位性をどのように評価すれば良いのか、そのあたりを取り上げてみたいと思います。もう一度、侍マトリックスのフォワードデータを御覧ください。
EAを評価するためのデータとしては、あまりにも情報が少なすぎます。肝心の検証期間(運用期間)が不明であり、通貨ペアすら記載がありません。
エクイティカーブ(資産増減曲線)から何がわかるか?
データ内のグラフは、エクイティカーブと呼ばれます。いわゆる資産増減曲線ですね。簡単にいえば、口座のお金が増えたか?減ったか?を示すグラフです。通常はバックテストで使われる用語です。EAの性能が可視化されたグラフであり、優位性の判断において、最もわかりやすい指標の一つです。
右肩上がりになっていることが大前提であることは言うまでもありません。が、同じくらい重要な要素として、このエクイティカーブがどのような曲線を描いているのか?この点をチェックする必要があります。
EAをエクイティカーブの特徴でザックリと分類してみます(かなりザックリです)。
ナンピン・マーチンゲール型EA
例えばこんなエクイティカーブの場合。
赤いグラフがきれいな右肩上がりを描いています。
これは某EAのエクイティカーブです。このエクイティカーブは、ナンピン・マーチンゲール型EAに見られる特徴的なものです。細かな利確を繰り返しながら、淡々と利益を積み重ねていくタイプのEAです。
含み損を抱えつつも、多段階のナンピンとマーチンゲールによって一気に資産を回復させる力技です。レートが逆方向に行って戻らなければそのまま破綻する可能性があり、運用には細心の注意が必要とされます。
黄色い折れ線グラフが合わせて表示されていますが、これはエクイティグロウス(equitygrowth)、つまり正味の資産です。含み損を含めた資産ですね。このグラフの落ち込みが大きければ大きいほど、含み損がスゴイことになっています。上記グラフの後半(右端)をご覧ください。黄色いグラフがマイナスを計上してるのがわかります。
レートが逆方向に行って戻らないためナンピン・マーチンによる含み損が巨大化し、原資を割っていることを表しています。つまり破綻寸前(事実上の破綻にちかい)であるということです。
口座のお金は増えている(右肩上がり)のですが、それを上回る含み損(黄色いグラフ)が発生していることになります。含み損を決済すれば口座は破綻し、原資を上回る損失が発生します。
非ナンピン・マーチン型EA
このエクイティカーブはTHE SPIDERのものです。現在は運用がストップしています。
ギザギザを描きながらも、右肩上がりのグラフになっています。エクイティグロウス(黄色いグラフ)も、ほぼ同じラインを描いているのが特徴です。ナンピンやマーチンゲールを使わずに利益を出すEAは、このようなグラフを描きます。
EAがその時の相場にマッチしなければ、グラフは平行線を辿ったり、落ち込みを見せることもあります。その代わり、いったんEAのロジックにマッチする相場になれば、勝率も上がり、資産を増やしてくれます。
ただ気になるのはロット数ですね。後半(右側)において緑色の棒グラフが大きく上に伸びていますね。これはロット数を表すデータです。ロット数を意図的に(手動で)増やすことで後半の右肩上がりの資産を作った可能性があります。
損大利小型EA(侍マトリックス)
侍マトリックスのエクイティカーブをご覧ください。階段上になっているのがわかりますね。これは、その場所で大きな損切りが発生しているからです。
含み損をナンピンで取り戻しつつ小さな利食いを繰り返して利益を積み重ねていくので、直線的な右肩上がりになります。しかし所々で大きな落ち込みを見せています。これはナンピンでは取り戻せないほどの含み損が発生してしまい、機械的にロスカットしているからです。
結果的に利益は落ち込み、そこからまた再スタートします。ですので階段上になるわけです。つまり損大利小のEAということですね。
損切りをすることは、含み損による破綻を回避し資産を守るうえで重要です。どのレベルで損を確定させるか?このあたりはEA開発者の腕の見せどころです。
エクイティカーブを見るだけでも色々とわかる
ご覧のとおり、エクイティカーブ(資産増減曲線)を見るだけでも、EAの特徴がよくわかりますね。もう少し細かくチェックする(分ける)ことも可能ですが、とりあえずザックリと分けてみました。時間があれば、データから見るEAの優位性などについても記事にしてみたいと思います。