松井証券に賠償命令〜18秒の遅延は債務不履行〜

ブローカーの遅延により1400万円をロスカット

注目を集める判決が下されました。

FX取引で証券会社に賠償命令 18秒の約定遅延「債務不履行」 

2013/10/16 18:54

インターネットを通じた外国為替証拠金(FX)取引で、約定が遅れたことで損害を被ったとして、茨城県の男性が松井証券に約1400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、約200万円の支払いを命じた。

問題となったのは、損失が無制限に拡大するのを防ぐため、あらかじめ設定した為替レートになった場合に強制決済される「ロスカット」と呼ばれる仕組み。原告側は設定レートに達してから実際のロスカット約定までに約18秒経過し、その間の相場変動で損失が生じたと主張していた。

戸田久裁判長は「ロスカットまでに一定のタイムラグが生じることは契約上想定されているが、10秒を超えれば合理的範囲内とはいえない」と指摘。タイムラグを抑えるシステムを整備する義務に違反したとして、証券会社側に債務不履行があったと結論付けた。

引用:日本経済新聞WEB版

東京地裁が松井証券に対して、200万円の支払いを命じました。10秒を超えるタイムラグは合理的範囲を超えるという判断ですね。

ロスカットが発生したタイミング(背景)がどんな状況だったのか不明ですが、たとえ指標発表時前後であったとしても18秒の遅延というのは問題だと思います。暴騰暴落時の18秒というのは、恐ろしいです。数秒で50〜100pips動いてもおかしくありません。

約定能力の低さが大きな損失を生む典型的な例です。原告は1400万円の損賠賠償を求めていたわけですから、同等額程度のロスカット(1400万円程度の損失)を被ったのでしょう。18秒で1400万円を溶かしたわけですね。

恐らく原告にとって、この18秒間は恐ろしく長い時間だったのではないでしょうか。

ロスカットも絶対ではない

今回の判決で、ブローカーのロスカット機能は絶対ではないということがよくわかりましたね。ロスカットとは、相場変動による過大な損失を防ぐために自動的に発動される強制決済のことです。

証券会社によって様々なロスカットルールが設けられており、一律ではありません。当然、取引証拠金額や取引コースなどによって、各トレーダーのロスカットラインは異なります。

相場がどれくらい変動したらロスカットにかかるかは各々明確に分かっているはずです。

ただし、ロスカット機能は万能ではありません。相場変動によりロスカット機能が発動されたとしてもレート変動が急激すぎた場合はすぐには約定できないため、ロスカットラインを大きく超えて約定してしまうことも多々あります。

また、マイナーな通貨などを運用していた場合も、約定に時間がかかってしまうことがあります。その数秒の遅れ(約定遅延)によって、想定以上の損失(ロスカット)を被るケースが存在します。

18秒の遅延は合理的範囲を超える(東京地裁)

今回の松井証券のケースでは、18秒も遅延して約定しています。18秒あれば相場はかなり変動するはずです。しかもロスカットするくらいですから、それなりの(指標発表などによる)暴騰暴落相場であったと予測されます。

システムの遅延なのか故意なのか不明ですが、この遅延によって巨額の損失が発生したということは想像に難くないですね。

東京地裁の判決(18秒の遅延は合理的範囲を超えている)は、正しいと思います。

不正なスリッページはなくなるか?

今回の東京地裁の判決は画期的だと思います。たとえ証券会社のシステムエラーだったとしても、投資家(顧客)側に不利になるスリッページは是正される方向性が、明確に打ち出されたからです。過去にもこんな記事がありましたね。

金融庁、FX取引で投資家に不正な売買是正 

2013/6/25 20:24

金融庁は25日、外国為替証拠金(FX)取引で公正な売買を促す監督指針の改正案を正式に公表した。

投資家が注文した価格よりも不利な価格の時にだけ取引を成立する手法を禁止する。

意見公募を経て、今夏中に適用する。

外国為替市場は値動きが激しく、注文から取引成立までの短時間に為替レートが変動することがよくある。

一部のFX会社はこのズレを利用して、自社が利益を上げられるようにしていた。

今後はFX会社にとって有利か不利かに関係なく、取引が成立するようにして、個人投資家に負担だけを押しつけないようにする。

引用:日経新聞WEB版

2013年6月、金融庁により投資家側に不利なスリッページを是正する指導が行われました。

そして今回の東京地裁の判決です。FX投資家にとっては、良い流れですね。

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